「ランニングでの疲労を回復させる方法が知りたい」
「ランニングでのケガを予防するためにできることはないかな?」
「疲労の蓄積を防ぎ、ケガをすることなく、マラソンをより長く楽しめるようになりたい」
ランニングをしていると、疲労が蓄積していきます。
その疲労を十分に回復させないまま走ってしまうと、ケガの原因となってしまいます。
つまり、ランニングでのケガを防ぐためには、疲労の蓄積をどれだけ防ぐことができるかが重要となります。
そこで今回の記事では、ランニングでの疲労の原因を解説し、僕が実践していて、成果が出ている疲労回復方法をご紹介します。
この記事を読むことで、ランニングでの疲労を回復させる様々な方法を知ることができ、ケガをすることなく、マラソンをより長く楽しめるようになります。
この記事を書いてる僕は、2つの医療系国家資格(鍼灸師・柔道整復師)とスポーツ栄養の資格(スポーツ栄養医学指導士)を保有している日本で唯一のランニングトレーナーです。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
ランニングでのケガを防ぐためには、疲労の蓄積を防ぐ
ランニングをしていて、ケガをしてしまう原因の1つに、疲労の蓄積があります。
疲労が蓄積することにより、身体は慢性的な炎症状態になり、肉体的な疲労だけではなく、精神的な疲労も感じやすくなります。
心身ともに疲れた状態で走っていても、身体がトレーニングの負荷に耐えきれず、パフォーマンスUPどころか、ケガに繋がってしまいます。
よって、ランニングでのケガを防ぐためには、疲労の蓄積をどれだけ防ぐことができるかが重要となるのです。
まずは疲労の原因を確認していただき、それぞれの対策についてご紹介していきます。
ランニングでの疲労の原因
ランニングをすることで、疲労が蓄積してしまう原因は、大きく以下の3つが考えられます。
①オーバートレーニング
②休養不足
③栄養不足
①オーバートレーニング
走り過ぎることで、疲労の蓄積が起こります。
走ることで身体を酷使すると、酸化ストレスにさらされます。
そうすると、タンパク質の正常な生成が邪魔されるため、心身の働きが落ち、疲労が蓄積してしまいます。
②休養不足
必要な休養が取れていないことで、疲労の蓄積が起こります。
睡眠時間を確保できていなかったり、ストレッチなどのケアを怠ってしまうと、走るためのコンディションが十分に整いません。
その状態でまた走るため、疲労が蓄積してしまいます。
③栄養不足
必要な栄養が摂れていないことで、疲労の蓄積が起こります。
疲労を回復するためには、身体の代謝を上げるための栄養が満たされている必要があります。
食事を抜いてしまったり、栄養のバランスが偏った食事をしていると、代謝を上げて疲労回復するための栄養が不足してしまうため、疲労が蓄積してしまいます。
と、ここまでは聞いたら当たり前のことだと思います。
大切なのはここから。
それぞれの原因に対して、僕自身が実践している疲労回復方法をご紹介していきます。
オーバートレーニングを防ぐ
オーバートレーニング対策として僕が実践しているのは、以下の3つです。
①違和感を感じた時は無理をしない
②ランニング以外のトレーニングを行う
③ランニングウォッチを活用する
①違和感を感じた時は無理をしない
インターバル走やロング走などの強度の高い練習をしていると、膝や足に痛みまでも言わない違和感が出ることがあります。
ズキっと刺すような痛みではなく、走るのは問題ないけど気になるといった状態です。
また、いつも走っているペースがしんどく感じたり、思うようにペースが上げられない時があります。
このような症状が出た時点で、練習の強度を落として、違和感やしんどさがなくなるまで無理をしないようにしています。
ペース設定を落としてみたり、メニューをジョグのみにして様子をみたり、休息日を長めに取ったりなどですね。
違和感やしんどさが出ているということは、身体に負担がかかり過ぎているサインです。
ここで走れるからといって無理をすると、疲労が蓄積していき、ケガに繋がってしまいます。
②ランニング以外のトレーニングを行う
走る量が増えれば増えるほど、疲労の蓄積が起こりやすく、ケガのリスクが上がってしまいます。
ですが、マラソンで良い結果を残したいのなら、それに見合ったトレーニングは必要です。
そこで、走る以外のトレーニングを取り入れて、パフォーマンスUPに繋げています。
ランニング動作に繋がる筋トレ、柔軟性の向上やメンタル面の安定に繋がるヨガ、関節の負担なく心肺機能の向上に繋がる水泳などです。
先日はスカッシュにチャレンジしてみました。
普段使わない筋肉を使うことで、偏った負担をなくし、ケガの予防に繋げるために取り入れたのですが、40分やっただけで筋肉痛が1週間近く取れませんでした。笑
このように、ランニング以外のトレーニングを行うことは、疲労の蓄積やケガの予防に繋がるだけでなく、パフォーマンスUPに繋がります。
マラソン女子歴代3位の記録を持ち、マラソンの日本記録更新が目標と公言する新谷仁美選手も、以下のように語っています。
「私が一般ランナーだったら、どうしても走ることに意識がいきがちで、トレーニングは走ることしかしないようにすると思うのですが、アスリートだからこそ分かるのは、ただ走っているだけでは力はつかないということなんです」
(中略)
「もし1週間のうち3回ランニングのトレーニングをしているのなら、それを2回に減らして、1回はプールで泳いだり、フィジカルのトレーニングをすることをお勧めします」
【ランニングマガジン・クリール2024年8月号】
③ランニングウォッチを活用する
ガーミンのランニングウォッチのデータを活用して、疲労度合いを管理しています。
あくまでデータなので、出ている数値が絶対信用できるとは思っていませんが、継続してデータを取っていると、コンディションの変化が傾向として分かってきます。
ちなみに、参考にしているデータは以下の3つです。
トレーニングレディネス
トレーニングレディネスは、トレーニングに向けてどの程度の準備ができているのかを、以下の6つの数値をもとに、1〜100のスコアで表示してくれます。
- 睡眠スコア
- リカバリータイム
- HRVステータス
- 短期的負荷
- 睡眠履歴
- ストレス履歴
スコアが50未満の場合、ペース設定を落とすなどして、トレーニングの強度を調整するのに役立てています。
リカバリータイム
リカバリータイムは、身体が完全に回復して、次の激しい体力向上トレーニングに備えるまでの時間を予測してくれます。
リカバリータイムが0時間になるまでは、ポイント練習はしないようにしています。
トレーニング負荷比
トレーニング負荷比は、過去7日間の負荷量(短期的負荷)×過去28日間の週平均の負荷量(長期的負荷)で求められます。
この数値が0.8〜1.3だとケガの発生リスクが抑えられ、1.5を超えるとリスクが高まるとされています。
オーバートレーニングやトレーニング不足の自己診断として活用しています。
休養不足を防ぐ
休養不足対策として僕が実践しているのは、以下の5つです。
①睡眠
②ストレッチ
③入浴
④マインドフルネス瞑想
⑤整体
①睡眠
プロランナーの大迫傑選手や、メジャーリーガーの大谷翔平選手は、1日10時間寝ているようです。
それだけの時間を睡眠に割いているということは、睡眠は疲労回復のために1番大切なことだと言えます。
学生スポーツ選手の睡眠時間が8時間未満だと、故障確率が1.7倍になるというデータもあります。
毎日8時間以上寝るのは難しいので、最低でも6時間の睡眠時間の確保と、ガーミンの睡眠スコアで睡眠の質を測定して管理しています。
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②ストレッチ
朝起きたら、布団の上でストレッチをすることからスタートしています。
走る前にも、お決まりのルーティンでストレッチをするようにしています。
ストレッチをすることで、血流が良くなり、代謝が上がることで、疲労回復が期待できます。
また、いつも同じタイミングで、同じストレッチをすることで、その日の疲労度合いを測定することができ、休養の必要性を管理できます。
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③入浴
夏でもシャワーではなく、湯船に浸かるようにしています。
湯船に浸かる方が、水圧の作用で血流が良くなりやすく、疲労回復がより期待できるからです。
また、週1回はサウナに行くようにしています。
サウナに入ることで、脳疲労が取れて頭がスッキリして、入浴だけの時より血流改善や睡眠の質向上の効果もあるようです。
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④マインドフルネス瞑想
朝のストレッチ後と、夜寝る前にマインドフルネス瞑想を取り入れています。
マインドフルネス瞑想をすることで、余計な緊張がゆるみ、心身共にリラックスすることができます。
朝に行うと集中力が高まり、夜寝る前に行うと寝付きが良くなます。
夜寝る前に行う時は、ストレッチも兼ねて、ストレッチポールの上でやっています。
相乗効果が半端ないです。
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⑤整体
特に痛い所がなくても、月1回を目安に定期的に整体を受けています。
歳を重ねるにつれて回復力は低下してくので、セルフケアだけでは限界があります。
整体を受けることで、身体が整うのはもちろんですが、自分では把握しきれていなかった身体の状態を知ることができ、疲労度合いの管理に役立っています。
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栄養不足を防ぐ
栄養不足対策として僕が実践しているのは、以下の3つです。
①自分の栄養状態を把握する
②1日3食の食事で栄養を摂る
③サプリメントを活用する
①自分の栄養状態を把握する
まずは、自分が普段どれだけ栄養が摂れているのかを把握します。
「あすけん」や「カロミル」などのアプリを活用すれば、普段の食事の摂取カロリーや栄養バランスを簡単に調べることができます。
毎日継続して記録を取るに越したことはありませんが、1週間だけでも取ることで、自分の摂取カロリーや栄養の過不足が傾向として分かります。
②1日3食の食事で栄養を摂る
1日3食をしっかりと食べることを基本として、食事で栄養を摂るようにします。
定食型のメニューにすると、自然と栄養バランスが整いやすくなります。
「主食・おかず・野菜・果物・乳製品」の5つをできるだけ揃えるようにします。
マラソンに向けて練習をしていると、3食の食事だけでは摂取カロリーが足りないこともあるため、必要に応じて走る前後に間食を入れることもあります。
食べ過ぎはダメですが、必要な栄養が足りていないと、疲労回復が遅れてしまいます。
③サプリメントを活用する
定食型の食事を毎食摂れるのが理想ですが、現実はなかなか難しいと思います。
僕もラーメンやパスタを食べたい時があります。
そこで、栄養の過不足を把握した上で、足りない栄養を、マルチビタミン・ミネラルとプロテインの2つサプリメントを活用して補っています。
普段の食事だけではビタミンとミネラルが足りないことがあるので、「マルチビタミン・ミネラル」で補っています。
ランニングをした後は、「プロテイン」でたんぱく質を補っています。
アプリで栄養状態を把握するまでは、走らない日もプロテインを摂っていましたが、食事だけで十分補えていることが分かり、今は走った時だけにしています。
栄養はバランスが大切で、取り過ぎも良くないですからね。
まとめ
今回は、「ランニングでケガを予防するためには疲労を蓄積させないこと」というテーマでお伝えさせていただきました。
話をまとめますね。
【ランニングでのケガを防ぐためには、疲労の蓄積を防ぐ】
・心身ともに疲れた状態で走っていても、身体がトレーニングの負荷に耐えきれず、ケガに繋がってしまう。
・ランニングでのケガを防ぐためには、疲労の蓄積をどれだけ防ぐことができるかが重要。
【ランニングでの疲労の原因】
①オーバートレーニング
②休養不足
③栄養不足
【オーバートレーニングを防ぐ】
①違和感を感じた時は無理をしない
②ランニング以外のトレーニングを行う
③ランニングウォッチを活用する
【休養不足を防ぐ】
①睡眠
②ストレッチ
③入浴
④マインドフルネス瞑想
⑤整体
【栄養不足を防ぐ】
①自分の栄養状態を把握する
②1日3食の食事で栄養を摂る
③サプリメントを活用する
というお話しでした。
僕が実践している疲労対策を、ざっと挙げてみました。
全て取り入れていただくと、疲労の蓄積度合いが全然変わってきます。
ケガをする確率も下げることができるでしょう。
僕自身、様々な対策を実施していくことで、10年ほどは大きな故障なくマラソンを毎年走ることができています。
とは言っても、さすがに全部は...という方は、「これならできそう!」と思えるものから試してみてください。