「サブ3未満の私でも履いて大丈夫なのかな?」
「ナイキの厚底シューズを、サブ3を達成していないランナーが履くデメリットについて知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
今や、ランニングをしていない人さえ知っているナイキの厚底シューズ。
男女のマラソン世界記録や、男子のマラソン日本記録を更新したのもナイキの厚底シューズです。
また、2023年の箱根駅伝での着用率は61.9%と圧倒的な支持を受けています。
他社の厚底シューズの勢いも増していますが、それでもまだナイキ厚底シューズの一強時代です。
数々の記録を次々と塗り替えていったため、メディアにも大きく取り上げられたこともあり、「あのシューズを履けば自分も速く走れるのではないか?」と思った方も多いのではないでしょうか?
確かに、「速く走る」ということにおいては、シューズの構造からみても、伴っている結果からみても間違いないでしょう。
着用した多くのランナーが、「他のシューズより速く走れる」と実感しています。
だだし、それはトレーニングをしっかり積んだ一部のランナーだからこそ得られるメリットです。
フルマラソンで言うと、「サブ3以上」のレベルのランナーが目安です。
サブ3にまだ到達していないレベルのランナーが履くことは、デメリットの方が大きくなります。
このことは、ナイキの厚底シューズが登場して以来、様々議論されてきました。
最近では、ナイキ以外のメーカーも、カーボン入りの厚底シューズを投入してきており、様々なラインナップが揃ってきています。
そんなタイミングで、あなたに本当に合ったシューズ選択ができるように、医療系国家資格を持つランニングトレーナーとしての目線から、サブ3未満のレベルのランナーが、カーボンプレートを搭載した厚底シューズを履くリスクについて、改めてお伝えさせていただきます。
今回の記事では、ナイキの厚底シューズを、フルマラソン3時間以上のレベルのランナーが履くデメリットをお伝えし、デメリットを理解した上で「それでも履きたい」という方に向けて、履き分け方をご紹介します。
この記事を読むことで、ナイキの厚底シューズのリスクを理解した上で、ケガをするリスクを最小限に抑えながら、記録更新に役立てていく方法を知ることができます。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかに、より楽しく走れる走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスし、200名以上のランナーをマンツーマンで指導してきた実績があります。
目次
ナイキの厚底シューズをサブ3未満のランナーが履くデメリット
ナイキの厚底シューズをサブ3未満のランナーが履くデメリットとして、以下の2つがあります。
ポイント
①ケガのリスクが格段に上がる
②効率的なランニングフォームが身に付かない
それぞれ詳しく解説していく前に、ここで言う「ナイキの厚底シューズ」とは、どのシューズのことを指しているのかを確認しておきます。
ナイキの厚底シューズとは?
ここでの「ナイキの厚底シューズ」は、カーボンファイバープレートを搭載し、レース向けに設計された以下の3つのシューズのことを指します。
【アルファフライ】
【ヴェイパーフライ】
【ズームフライ】
車に例えるなら、アルファフライはやヴェイパーフライはレーシングカー、ズームフライはスーパーカーのようなものです。
そんな高出力・高性能の車に、一般のドライバーが乗るとどうなるか?
事故を起こす確率が上がりますし、車が持っている性能を活かしきれず、まともな運転ができませんよね。
同じようなことがランニングでも起こります。
ケガのリスクが格段に上がる
ナイキの厚底シューズは、レース向けに設計されているため、足を守る基本構造を満たしていません。
そのため、走るための身体が充分にできていないサブ3未満のランナーには、身体にかかる負担が大きくなり、ケガをしてしまうリスクが格段に上がってしまいます。
足を守る基本構造とは、①ヒールカウンターがしっかりしている ②シャンクがしっかりしている ③クッション性が高い の3つです。
この構造は、それぞれ「カカトを安定させる」「過度な足首のねじれを防ぐ」「膝や足にかかる衝撃を緩和させる」という目的があります。
ナイキの厚底シューズは、ヒールカウンターが指でつまむと潰れてしまうくらいの柔らかい素材でできています。
厚底のため、衝撃緩和は満たしているのですが、レース向けに設計した軽量モデルのため、着地した時の不安定感が強く、過度な足首のねじれを助長してしまう可能性があります。
また、フォアフットやミッドフットで着地することを前提とした設計のシューズになっているため、ヒールストライク走法が多い初心者〜サブ4レベルのランナーにとっては、接地面が狭く不安定感が強く出るため、ケガに繋がりやすくなってしまいます。
つまり、走るための身体やフォームができている上級者が履けば、スピードがより出て、厚底による衝撃緩和によって脚の疲労を減らすことができる高性能のシューズになります。
反対に、上級者ではないランナーが履けば、スピードは出るけど、不安定感が強くケガのリスクが格段に上がってしまうシューズになるのです。
※上級者ランナーでも、厚底シューズの履き過ぎによって、股関節周りのケガが増えてきています。
効率的なランニングフォームが身に付かない
ナイキの厚底シューズは、カーボンファイバープレートの反発力を活かして、スピードを出すことができます。
感覚としては、足を置きさえすれば、カーボンの反発力で進めてしまう感じです。
そのため、他のシューズと比べて、少ない労力でスピードを出すことができ、結果としてそれが好成績に繋がっていきます。
ただし、これは効率的なランニングフォームがある程度完成している必要があります。
上半身を主導とした重心移動や、股関節に重心を乗せるフォームが身に付いていないと、カーボンの反発力が上に逃げてしまい、上下動の大きな効率の悪いフォームになってしまいます。
また、カーボンの反発力に耐えられるだけの筋力が付いていないと、フォームが崩れてしまい、シューズの性能を活かしきれないどころか、ふくらはぎなどの脚の張り感が強く出てしまい、ケガの原因にも繋がってきます。
トップランナーでさえも、自分に合ったシューズを履くというより、ナイキの厚底シューズを履きこなすために、フォームを修正したり、筋トレを取り入れたりしているくらいです。
つまり、筋力やフォームをまだまだ改善してく必要があるサブ3未満のランナーが、ナイキの厚底シューズを履いてしまうと、反発力で前に勝手に進む感覚は得られますが、上下動の大きい効率の悪いフォームが身に付いてしまったり、ふくらはぎなどの脚に負担が大きくかかり、ケガの原因にもなってしまうのです。
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それでも履きたい場合は?
サブ3を達成していないランナーが、ナイキの厚底シューズを履くデメリットについてお伝えしてきました。
ここでは「それでも履きたい!」という方に対して、ケガのリスクを最小限に抑えながら履き分ける方法をご紹介します。
メモ
・普段の練習は、足を守る基本構造を満たしたシューズで走る
・マラソンやマラソンを想定した練習の時だけ履く(月1〜2回程度)
普段の練習は、ケガのリスクを最小限に抑えるためにも、足を守る基本構造を満たしたシューズで走るようにします。
どんなシューズを選べばいいかは、以下の記事を参考しにしてください。
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フルマラソンでいきなり履くのではなく、10kmやハーフマラソンの大会、フルマラソンを想定した練習をするときだけ履きます。(月1〜2回程度)
履く頻度を制限することで、身体にかかる負担を少なくしつつ、カーボンの反発だけに頼った効率の悪いフォームが身に付いてしまわないようにします。
3ヶ月〜6ヶ月程度試してみて、脚にトラブルが起こらないことを確認してからレースで使うようにします。
このように、「サブ3未満のランナーは絶対に履いたらダメ」という訳ではなく、履くならリスクを理解した上で、そのリスクをできるだけ回避できるような履き方をすることで、シューズが原因によるケガに繋がらないようにすることができます。
サブ3未満のランナーのレース向けシューズは、レーシングカーレベルのアルファフライやヴェイパーフライではなく、スーパーカーレベルのズームフライがおすすめです。
上位2つのモデルと比べて着地時の安定感があるため、上級者じゃなくても違和感なく履くことができます。
他には、トレーニングモデルとして販売されていて、カーボンも採用されていませんが、テンポネクストは充分にレースでも使えるモデルだと思います。
実際に、そういうランナーに限っていつも故障がちな方が多いですからね。
まとめ
今回は、「ナイキの厚底シューズをサブ3未満のランナーが履くデメリット」についてお伝えさせていただきました。
話をまとめますね。
【ナイキの厚底シューズをサブ3未満のランナーが履くデメリット】
①ケガのリスクが格段に上がる
②効率的なランニングフォームが身に付かない
【ケガのリスクが格段に上がる】
・レース向けに設計されているため、足を守る基本構造を満たしていない
・サブ3未満のランナーが履けば、スピードは出るけど、不安定感が強く、ケガのリスクが格段に上がってしまう
【効率的なランニングフォームが身に付かない】
・筋力やフォームを改善してく必要があるサブ3未満のランナーが履くと、上下動の大きい効率の悪いフォームが身に付いてしまう
・ふくらはぎなどの脚に負担が大きくかかり、ケガの原因にもなってしまう
【それでも履きたい場合は?】
・普段の練習は、足を守る基本構造を満たしたシューズで走る
・マラソンやマラソンを想定した練習の時だけ履く(月1〜2回程度)
というお話しでした。
数年前からナイキの厚底シューズが流行りだし、レベルを問わず様々なランナーが履くようになりました。
多くの記録更新の手助けとなっている一方、シューズが原因だと考えられる膝・足・股関節・腰の痛みを抱えるランナーも増えてきたように感じます。
今回は、ナイキの厚底シューズにフォーカスを当てて解説しましたが、現在発売されている他のメーカーの厚底カーボンシューズにも同じことが言えます。
「自己責任なんだから、自分が履きたいと思うシューズを履けばいい」
確かにそうです。
最終的には自分の判断で好きに履けばいいと思います。
ただ、膝・足・股関節・腰の痛みに悩まされることなくランニングを楽しみたいと思う方は、自分の走力に合わせたシューズを選択するようにしてみてくださいね。
それでは、また。
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