「マラソンを完走するのに、もっと楽に走れるようにならないかな?」
「マラソンをもっと速く走れるようになって、自己ベストを更新していきたい」
「走力アップしていくために必要な知識を身に付けたい」
こんなお悩みが解決できます。
マラソン大会に向けて自己流で練習はしているんだけれど、いつも後半失速して完走するのが辛かったり、自己ベストがなかなか更新できないという方は、練習方法に問題がある可能性があります。
マラソンを「より楽に、より速く」走れるようになるためには、5つの要素があります。
マラソンでのパフォーマンスアップを目指すのであれば、その5つの要素のどの要素を伸ばすためのトレーニングなのかを理解した上で、目的意識をしっかりと持ってトレーニングを積み上げていくことが大切なのです。
そこで今回の記事では、マラソンをより楽により速く走れるようになるために知っておくべき5つの要素について、それぞれ解説していきます。
この記事を読むことで、マラソンでのパフォーマンスアップをしていくために必要な知識を身に付けることができます。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスし、200名以上のランナーをマンツーマンで指導してきた実績があります。
目次
マラソンをより楽により速く走れるようになるために知っておくべき【5つの要素】とは?
42.195kmという長い距離を走り続けるマラソンというスポーツは、様々な要素が組み合わさってそのパフォーマンスの良し悪しが決まります。
その要素とは、大きく以下の5つに分けられます。
ポイント
①最大酸素摂取量
②乳酸性作業閾値
③ランニングエコノミー
④認識力
⑤レースメイク力
マラソンでのパフォーマンスアップを目指す場合は、「ただ長い距離を走って月間走行距離を伸ばすようなトレーニング」や、「少しでも速く走って身体を追い込むようなトレーニング」では望んでいる結果はなかなか出ません。
「実施するトレーニングがどの要素を伸ばすためのトレーニングになっているか」をしっかりと理解した上で、目的意識を持ってトレーニングを積み上げていくことが大切です。
そのためにも、まずはマラソンのパフォーマンスを構成する5つの要素について理解を深めていきましょう。
①最大酸素摂取量
最大酸素摂取量とは、「運動中に体重1kgあたり1分間に体内に取込まれる酸素の最大量」のことを言い、「VO2max」(Volume〔量〕、O2〔酸素〕、max〔最大値maximum〕)と略記されます。
VO2maxは、車で例えると「排気量」と言えます。
車は、軽自動車→乗用車→スポーツカーと排気量が上がっていくと、出せるスピードの最大値も上がっていきます。
同じようにランニングの場合も、VO2maxが高まっていくことで、走るスピードの最大値が上がっていきます。
つまり、最大キロ4分ペースで走れるランナーと最大キロ5分ペースで走れるランナーが、同じキロ6分ペースで走ったとしたら、キロ4分ペースで走れるランナーの方がより楽に走ることができるということです。
VO2maxは、高負荷のトレーニングと低負荷のトレーニングを交互に実施することで、効果的に高めることができます。
トレーニングの代表例としては、「HIITトレーニング」や「坂道トレーニング」、「インターバル走」などがあげられます。
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②乳酸性作業閾値
乳酸性作業閾値とは、「ゆっくりしたペースから、徐々にスピードを上げていったとき、乳酸が血液中に急増し始めるポイント」のことを言います。
英語ではLactate Thresholdとなるので、これを略して 「LT」と呼ばれることが多いです。
LTを超えるスピードで走ってしまうと、有酸素運動から無酸素運動に切り替わってしまうため、長い距離を走ることができなくなります。
よって、LTが高くなればなるほど、スピードを上げて走っても長い距離を走り続けることができるようになります。
つまり、キロ4分ペースでLTを向かえるランナーと、キロ6ペースでLTを向かえるランナーが、同じキロ5分ペースで走った時、キロ4分ペースでLTを向かえるランナーなら後半に失速することなくフルマラソンを完走できるということです。
LTを高めるためのトレーニングとしては、LT付近のペースで走る「LT走」や「クルーズインターバル走」、「ウェーブ走」があげられます。
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③ランニングエコノミー
ランニングエコノミーとは、「ランニング中に、いかに無駄なエネルギーを使わず、効率的に走ることができるのか」というものです。
ランニング+エコノミー(経済)ですので、「ランニングの経済性や効率性」という意味になりす。
ランニングエコノミーは、「エネルギー代謝」「運動器(“動く”ことに関わる骨、筋肉、関節、神経)、「ランニングフォーム」の3つが関係していますが、中でもランニングフォームの影響が50%以上と言われています。
ランニングエコノミーは、車で例えると「燃費」と言えます。
よって、燃費が良い車が少ないガソリンで長い距離を走れるように、ランニングエコノミーの高いランナーほど少ないエネルギーで長い距離を走れるようになります。
つまり、ランニングエコノミーの高いランナーほど、同じ距離を走った時の身体への負担を減らすことができるようになります。
ランニングエコノミーを高めるためには、「LSD」や「筋トレ」、「ランニングフォーム改善」があげられますが、50%以上の影響があると言われている「ランニングフォーム改善」をしていくことが一番重要です。
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④認識力
認識力は、内的認識力と外的認識力の2つに分かれます。
内的認識力とは、「自分の身体やメンタルがどういった状態にあるのかを適切に認識する力」のことを言います。
どんなに本番に向けて準備してきたとしても、レース当日になって走ってみないと、その日の身体の調子は分かりません。
身体が軽く感じて走りやすいこともあれば、重たく感じて走りにくいこともあります。
そんな時に、自分の身体がどう動いているか?どう動かしているかを認識できることが重要です。
また、メンタル面でも前向きにレースに望む準備ができているか、緊張でガチガチになってしまっているかでは、発揮されるパフォーマンスは変わってきます。
そんな自分の身体の調子をいち早く見極めて認識することで、適切な対処をすることができるようになり、その日に発揮できるベストパフォーマンスを引き出すことができます。
内的認識力を高めるためには、「身体の柔軟性や可動性、機能性を高めていくためのストレッチ」や「身体の動き作りや意識作り、重心操作を高めていくトレーニング」、「メンタルトレーニング」があげられます。
外的認識力とは、「レース当日の気候や状況、その他道具などを認識する力」のことを言います。
レース当日が晴れなのか曇りなのか、または雨なのかによって、レースの運び方は変わってきます。
暑かったらペースは思うように上がりませんし、雨が降っていると足元が悪くなるためコースどりにも注意が必要です。
また、シューズの靴紐がしっかりと結ばれているかの確認も必要ですし、来ているウェアが快適に走れる状態なのかを認識することも大切です。
レース中にうっかり靴紐が解けてしまって立ち止まらないといけなかったり、靴擦れや股擦れを起こしてしまって満足に走れないというようなこともあるからです。
このような自分の身体やメンタル以外のことも適切に認識することが、レース当日にベストパフォーマンスを発揮することに繋がります。
外的認識力を高めるためには、より多くの「レースを経験すること」があげられます。
レースを経験することで、様々な失敗を体験し、その失敗を二度と起こさないように対策を打つことができます。
そのため、フルマラソン本番前に10kmやハーフマラソンでレース経験を蓄積したり、レースを想定した練習をしておくことが大切です。
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⑤レースメイク力
レースメイク力とは、「その日のベストパフォーマンスを発揮するためにレースを進めていくスキル」のことを言います。
マラソンは、ペースの上げ下げが大きいよりかは、できるだけ一定のペースを保って走れる方が疲れにくいため、より良いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
そのためには、周りのランナーやGPSウォッチの数値に惑わされることなく、設定したペースを維持するスキルが必要になってきます。
特にマラソン初心者の場合は、周りのランナーに釣られてついつい速く走ってしまいがちなので要注意です。
また、当日の身体の調子の良し悪しや天候によって、ペース設定を変える必要も出てきます。
身体が軽く感じる場合は必要以上にペースが上がらないようにセーブし、身体が重く感じる場合は予定していたペースより落として走ることも大切です。
気温が高い場合は無理にペースを上げないようにしたり、後半の失速を防ぐために30kmまではペースを抑えて走ることも大切です。
このように、内的・外的認識力を発揮して、その日の自分がどのようにレースを進めていったらベストパフォーマンスを出せるかを、適切に選択できることが大切です。
レースメイク力を高めるためには、一定のペース維持するスキルを身に付けるための「ペース走」や、レース前に様々な状況を事前に「イメージトレーニング」しておくことがあげられます。
そのためには、レース前の準備やレースでの戦略などの予備知識を学んでおく必要があります。
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トレーニングは目的意識が大切
マラソンのパフォーマンスを構成する5つの要素について解説しました。
マラソンのトレーニングは、「そのトレーニングが5つのどの要素を伸ばすためのトレーニングなのかを理解し、目的意識を持ってトレーニングをすること」が大切です。
ここを考えずにトレーニングしてしまうと、思うような結果はなかなか得られません。
例えば、
「自己ベストを更新するために、週3回10km走って月間120kmを目指そう」
「サブ4を達成したいから、サブ4ペースのキロ5分40秒で10km走ろう」
などは、よく見られるトレーニングの内容ですよね。
一見目的意識があるようですが、肝心の5つの要素のどの要素を伸ばそうとしているかが明確になっていません。
一方、
「LT値を高めるために、心拍数を150に設定して10km走ろう」
「ランニングエコノミーを高めるために、ランニングフォーム改善に繋がるストレッチをしてから10km走ろう」
などは、5つの要素のどの要素を伸ばすためのトレーニングなのかが明確になっていてます。
何度も言いますが、マラソンをより楽により速く走るためには、目的意識を明確にして、5つの要素を伸ばしていくためのトレーニングを実施することが大切なのです。
まとめ
今回は、「マラソンをより楽により速く走れるようになるために知っておくべき【5つの要素】」についてお伝えさせていただきました。
話をまとめますね。
【①最大酸素摂取量】
・最大酸素摂取量とは、「運動中に体重1kgあたり1分間に体内に取込まれる酸素の最大量」のことを言い、「VO2max」と略記される
・VO2maxが高まっていくことで、走るスピードの最大値が上がっていく
・VO2maxを向上させるトレーニングとしては、「HIITトレーニング」「坂道トレーニング」「インターバル走」があげられる
【②乳酸性作業閾値】
・乳酸性作業閾値とは、「ゆっくりしたペースから、徐々にスピードを上げていったとき、乳酸が血液中に急増し始めるポイント」のことを言い、「LT」と略記される
・LTが高くなればなるほど、スピードを上げて走っても長い距離を走り続けることができるようになる
・LTを向上させるトレーニングとしては、「閾値走」「クルーズインターバル走」「ウェーブ走」があげられる
【③ランニングエコノミー】
・ランニングエコノミーとは、「ランニング中に、いかに無駄なエネルギーを使わず、効率的に走ることができるのか」というもの
・ランニングエコノミーの高いランナーほど、同じ距離を走った時の身体への負担を減らすことができるようになる
・ランニングエコノミーを高めるためには、「ランニングフォーム改善」が一番重要
【④認識力】
・認識力は、内的認識力と外的認識力の2つに分かれる
・内的認識力とは、「自分の身体やメンタルがどういった状態にあるのかを適切に認識する力」のことを言う
・内的認識力を高めることで、自分の身体の調子をいち早く見極めて認識することで、適切な対処をすることができるようになり、その日に発揮できるベストパフォーマンスを引き出すことができる
・内的認識力を高めるためには、「身体の柔軟性や可動性、機能性を高めていくためのストレッチ」「身体の動き作りや意識作り、重心操作を高めていくトレーニング」「メンタルトレーニング」があげられる
・外的認識力とは、「レース当日の気候や状況、その他道具などを認識する力」のことを言う
・自分の身体やメンタル以外のことも適切に認識することが、レース当日にベストパフォーマンスを発揮することに繋がる
・外的認識力を高めるためには、より多くの「レースを経験すること」があげられる
【⑤レースメイク力】
・レースメイク力とは、「その日のベストパフォーマンスを発揮するためにレースを進めていくスキル」のことを言う
・認識力を発揮して、その日の自分がどのようにレースを進めていったらベストパフォーマンスを出せるかを、適切に選択できることが大切
・レースメイク力を高めるためには、一定のペース維持するスキルを身に付けるための「ペース走」や、レース前に様々な状況を事前に「イメージトレーニング」しておくことがあげられる
【トレーニングは目的意識が大切】
・マラソンのトレーニングは、「そのトレーニングが5つのどの要素を伸ばすためのトレーニングなのかを理解し、目的意識を持ってトレーニングをすること」が大切
・5つの要素を無視したトレーニングでは、思うような結果はなかなか得られない
というお話しでした。
今回の記事では、マラソンのパフォーマンスを構成する5つの要素について全体像をつかんでもらい、目的意識を明確にしてトレーニングをしていく重要さを理解していただけたらと思います。
次回以降は、5つの要素の伸ばし方について、一つ一つより具体的に解説させていただきますね。
それでは、また。