「マラソンのレース後半になると、足がつって失速してしまう」
「マラソン中に足がつってしまう原因と、つらないための対策や予防方法があれば知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
マラソン大会で、せっかく良いペースを刻んでレース後半まできても、足がつってしまうと大失速してしまいます。
足さえつらなければ、もっと良いタイムを狙えたのに...
足さえつらなければ、あんなにつらい思いはしなくて済んだのに...
足さえつらなければ...
といった経験があるランナーも多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、足がつってしまう原因を生化学や生理学に基づいて解説し、足がつらないようにするための対策や予防法を全部で10個ご紹介します。
この記事を読むことで、あなたは足がつることなく、マラソンを最後まで走り切ることができるようになります。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
目次
足がつるとは?
足がつる(痙攣)というのは、「自分の意思に反して筋肉が急激にちぢんでいる(収縮している)状態のこと」です。
筋肉の収縮は、脳の運動神経細胞の興奮(命令)が筋肉に伝わることによって起こり、自分の意思でコントロールすることができます。
ところが、足がつっている時は、運動神経細胞が異常に興奮してしまうので、筋肉が自分の意思に反して収縮してしまいます。
つまり、「足がつる」というのは、運動神経細胞が異常に興奮してしまうことによって起こります。
足がつる原因
運動神経細胞が異常に興奮し、足がつってしまう原因として、以下の3つが関わっています。
①電解質の恒常性低下
②ph低下
③筋の虚血
① 電解質の恒常性低下
人の身体は、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)の濃度を一定に保つこと(恒常性)によって、筋肉や神経が正常に機能するようにできています。
マラソン中に汗をかくことで、電解質が体外に出ていってしまい、電解質の濃度バランスが崩れてしまうことによって、神経細胞が正常に働けなくなり、足がつってしまいます。
特に、マグネシウムは筋肉の弛緩に大きく関わっているため、不足すると足がつる原因になりやすくなります。
② pH低下
血液やリンパ液などの体液は、pH(水素イオン濃度)が7.35〜7.45の範囲で保たれています。
7.35〜7.45と非常に狭い範囲で保たれているのは、この範囲内でしか全身の細胞が機能を発揮できないからです。
マラソンのような負荷の高い運動をすると(特にレース後半)、細胞内に水素イオンが溜まっていき、pHの低下が起こります。
pHが低下することによって、神経細胞が正常な機能を発揮できなくなり、足がつる原因となってしまいます。
③ 筋肉の虚血
レース後半に疲労が蓄積してきて、筋肉に充分な血液が行き届かない(虚血)状態になると、細胞に届く栄養素や酸素の量が低下します。
そうすると、細胞内でのエネルギー産生が低下してしまいます。
エネルギー産生の低下は、身体の機能を正常に保つためのエネルギーの不足に繋がり、電解質の恒常性低下やpH低下を起こし、足がつる原因となってしまいます。
足がつらないための対策・予防
少し難しい話をしてしまいましたが、原因を把握した上での対策や予防があるので、お伝えさせていただきました。
ここからが知りたい話ですよね。
マラソン中に足がつらないための対策や予防は、以下の10個あります。
1つ1つ試していってみてください。
①水分補給
②糖質補給
③マグネシウム補給
④芍薬甘草湯
⑤防寒対策
⑥ペースコントロール
⑦メンタルコントロール
⑧リカバリー
⑨ロング走
⑩フォーム改善
① 水分補給
マラソン中にこまめな水分補給を心がけることで、汗をかくことによって電解質の濃度バランスが崩れてしまうことを防ぎます。
マラソン大会では、通常2.5km〜5kmごとに給水所があるため、全て立ち寄って水分補給をしましょう。
コップ1杯分飲んでしまうと、水分量が多すぎてうまく体内に吸収できない可能性があります。
コップ半分を目安に飲んで、まだ残りがあればコースの脇に捨てるくらいにしておきましょう。
また、水ではなくスポーツドリンクを取るようにしてください。
スポーツドリンクには、水分だけではなく、糖分やミネラルも含まれているので、水を飲むだけより足つり対策になります。
② 糖質補給
糖質がしっかり取れていないと、エネルギー源が枯渇してしまい、筋肉に充分なエネルギーが行き届かないことで、足がつる原因となってしまいます。
スポーツドリンクをこまめに飲むことで、ある程度の糖質補給ができますが、それだけでは不十分です。
エネルギージェルを持参し、1時間あたり1本を目安に摂るようにしましょう。
(Ex.5時間前後で完走する予定なら4〜5本)
できるだけこまめに糖質を補給することで、エネルギー切れによる足つりを防ぐことができます。
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③ マグネシウム補給
マグネシウムは筋肉の弛緩に大きく関わっているため、足がつりやすい人はレース前やレース中に積極的に摂取することで足つりを予防できます。
摂取方法としては、バナナ、マグネシウム入りのエネルギージェル、サプリメントなどです。
バナナはマグネシウムだけではなく、糖質やカリウムも含まれるため、足つり予防として優秀なフルーツです。
レース前の朝食や補給食として食べておきたいですね。
マグネシウム入りのエネルギージェルは、「マグオン」や「ウィンゾーン」がおすすめです。
サプリメントで代表的なのは、「2RUN」や「塩熱サプリ」などがあります。
④ 芍薬甘草湯
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)は、足つりに効果があるとされている漢方薬です。
芍薬甘草湯は、電解質の濃度バランスを正常化する働きがあります。
電解質の濃度バランスを正常化することで、過剰な神経伝達を遮断し、足つりを改善します。
レース中に持って走り、足が完全につってしまう前に摂取することで、足つりによって走れなくなってしまうことを防ぐことができます。
芍薬甘草湯で代表的なものは、「コムレケア」があります。
⑤ 防寒対策
10℃を下回るような時期のマラソン大会となると、寒さで身体が冷えて血流が悪くなり、筋肉の虚血が起こることによって、足がつってしまいます。
足の冷えを防ぐために、しっかりとした防寒対策をすることで、足つりを予防できます。
寒い中走ることが予想されるレースは、ロングタイツやカーフタイツを着用し、ワセリンを足に塗って冷え対策をします。
足だけではなく、身体全体の冷えも影響するので、お腹や首の後ろに貼るカイロを貼っておくのも良いでしょう。
⑥ ペースコントロール
オーバーペースでレースを走っていると、細胞内に水素イオンが溜まっていき、pHの低下が起こることで足がつってしまいます。
そのため、水素イオンが過剰に蓄積しない程度にペースをコントロールすることで、足つりを予防します。
心拍数が計測できるランニングウォッチを持っている場合は、心拍ゾーン4を超えないペースで走ります。
持っていない場合は、「少しつらいけど会話ができる」くらいのペースで走ります。
それでもつりそうな時は、完全に足がつってしまう前にペースを思いっきり落としてください。
早めに減速することで、phのバランスが大きく崩れることを防ぎ、足つりを予防することができます。
⑦ メンタルコントロール
身体は過剰に緊張することで、汗をかきやすくなったり、筋肉が硬くなったりしてしまいます。
過剰な発汗は、電解質の濃度バランスを崩し、筋肉の過緊張は虚血を起こし、それぞれ足がつる原因となってしまいます。
レース中は適度な緊張状態に身体を保つ必要があるのですが、そのための対策が「笑顔」です。
「笑い」には、リラックス効果があるとされているので、過剰な緊張を和らげることができます。
レース後半になってくると、精神的にも身体的にも疲れが出てきて、顔がこわばってしまいがちです。
そこで、レース後半のしんどい時でも「笑顔を作る」ことで、過度な緊張を緩和し、過剰な発汗や筋肉の過緊張を防ぎ、足つりを予防します。
⑧ リカバリー
走り過ぎで疲労が蓄積していたり、筋トレをし過ぎていたりすると、筋肉が硬くなってしまいます。
その状態でマラソンを走ってしまうと、筋肉が虚血状態になりやすく、足がつる原因となってしまいます。
レースの2週間前からは、ハードな練習は控えて、徐々に疲労が抜けるように走る量を調整していきましょう。
筋トレもやり過ぎると、身体の動きを硬くしてしまうので、レースの1週間前からは控えておきましょう。
特に重いダンベルやバーベル、マシンを使うようなウエイトトレーニングは、やり方を間違えると筋肉が硬くなり、マラソンにはマイナスに働いてしまうので注意が必要です。
また、ストレッチやマッサージ、入浴も活用して疲労回復に努めましょう。
ちなみに、入浴剤で「エプソムソルト」というものを活用すると、皮膚からマグネシウムが補給できて足つり対策ができます。
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⑨ ロング走
長い距離を走る練習(ロング走)が不足していると、フルマラソンを完走するために必要な体力が備わっていません。
そうすると、身体に大きな負荷がかかってくるレース後半は、phの低下や筋肉の虚血が起こってしまい、足がつる原因となってしまいます。
普段のトレーニングとして、週1回は15〜25km程度のロング走を行います。
大会1ヶ月前〜3週間前に、3時間走や30km走をして、フルマラソンを走り切れる体力を作っていきます。
ロング走をしっかりこなしてこそ、マラソンで足がつらない身体を作ることができます。
⑩ フォーム改善
足に余計な負担がかかるような走り方をしていると、phの低下や筋肉の虚血が起こりやすくなってしまい、足がつる原因となります。
特に、ふくらはぎや太ももの前を使うような走り方をしていると、足がつりやすくなります。
お尻や太ももの裏をメインに使い、身体の軸がブレないランニングフォームに改善することによって、足がつることを予防できます。
どんな対策をしてもダメな方は、根本的な走り方を見直してみてください。
ただ、根本的なフォーム改善となると、3ヶ月〜半年程度はかかるので、地道なトレーニングの積み重ねが必要となります。
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まとめ
今回は、「マラソンで足がつる原因とその対策や予防」をテーマにお話しさせていただきました。
すぐにできる対策を中心にご紹介させていただきましたが、足がつりやすい根本的な原因として、日頃の生活習慣も大きく関わっています。
バランスの取れた食事、良質な睡眠がベースにあってこそ、今回ご紹介した足つり対策が活きてきます。
足がつりやすいという方は、偏った食生活や睡眠不足がないかなど、生活習慣も見直してみてくださいね。
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