「エネルギー補給が必要な理由や、補給食を摂るタイミングが知りたい」
「何を用意したらいいか分からないので、おすすめの補給食があればいくつか教えて欲しい」
こんなお悩みが解決できます。
初めてフルマラソンにチャレンジする方に、必ず質問されることの一つがレース中の「補給食」についてです。
ランニング初心者の方が初めてフルマラソンを走る場合、完走するまでに5〜6時間はかかることが予想されます。
9時スタートだとすると、14時〜15時まで走り続けることになるため、昼ごはんも食べずに走り続けることになります。
そんな時に必要になってくるのが「補給食」です。
エネルギーが途中で枯渇してしまわないように、レース中にエネルギーを補給してあげるのです。
そして、どんな補給食をどんなタイミングで摂取するかによって、レース中のパフォーマンスは大きく変わってきます。
そこで今回は、マラソンでの補給食の重要性について解説し、補給食を摂るタイミングからおすすめの補給食までご紹介します。
この記事を読むことで、マラソンでの補給食に関する不安を全て解決することができます。
この記事を書いてる僕は、2つの医療系国家資格(鍼灸師・柔道整復師)と栄養指導の資格(スポーツ栄養医学指導士)を保有している日本で唯一のランニングトレーナーです。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
目次
なぜ、ランニング初心者にはマラソンでの補給食が重要なのか?
ランニング初心者がマラソンで補給食を取ることが重要な理由は以下の3つです。
① エネルギーが枯渇して途中でガス欠を起こしてしまうから
② 蓄えておけるエネルギーには限界があるから
③ 初心者ランナーほどエネルギーが途中で枯渇しやすいから
① エネルギーが枯渇して途中でガス欠を起こしてしまうから
フルマラソンの総消費カロリーは、以下の簡易式で求めることができます。
メモ
体重(kg)×42.195(km)
体重が60kgの方だと、60×42.195≒2,500となります。
つまり、フルマラソンを完走するためには、約2,500kcal必要だということになります。
2,500kcalというのは、成人男性の1日の必要摂取カロリーに相当します。
そんなカロリーをフルマラソンを走るだけで消費してしまうのです。
しかも、9時スタートで5時間かけてゴールしたとしたら14時になるので、朝ご飯を食べてから次にご飯を食べられるのは昼ご飯時をとうに過ぎてしまいます。
よって、何も食べないで走り続けると、エネルギーが途中で枯渇してガス欠を起こしてしまうので、補給食でエネルギー補給することが重要なのです。
② 蓄えておけるエネルギーには限界があるから
走るためのエネルギー源は糖質と脂肪です。
マラソンのレースペースでは、糖質と脂肪の使われ方は1:1と言われています。
脂肪に関しては、体内に豊富な蓄えがあるため、フルマラソンを走ったくらいでは枯渇してしまう恐れはありません。
問題は糖質です。
糖質は、グリコーゲンと呼ばれる状態で、肝臓と筋肉に500gほど貯蔵されています。
糖質は1gあたり4kcalと言われているので、500g×4kcal=2,000kcalを貯蔵していることになります。
マラソンレースでの糖質と脂肪の使われ方は1:1なので、糖質の利用量は総消費カロリ-2500kcalの半分である1250kcal程度となります。
糖質の貯蔵量が2000kcal程度であることを考えれば、糖質が切れて走れなくなるということはなさそうですが、そう上手くはいきません。
実際には、体内の糖質はゼロになるまで走り続けられる訳ではなく、1/3減っただけでも筋収縮に影響が出てくると考えられています。
糖質の消費が1/3を超えたあたりが、ちょうど30km〜35kmに壁として現れてくるのです。
このように、体内に蓄えておけるエネルギーには限界があるため、補給食によるエネルギー補給が重要なのです。
③ ランニング初心者ほどエネルギーが途中で枯渇しやすいから
プロや実業団などのトップランナーは筋肉量が多いため、筋肉内にグリコーゲンをより多く溜め込んでおくことができます。
また、レースペースでも効率良く脂肪をエネルギー源として活用できるように、日々トレーニングを積んでいます。
このように、体内に豊富にある糖質と脂肪を効率良くエネルギー源として使えるため、レース途中でエネルギーが枯渇してしまう心配はほとんどありません。
一方、ランニング初心者の場合は、脂肪を効率良くエネルギー源として使えるだけのトレーニングが充分に積めていない場合がほとんどです。
本来なら、糖質と脂肪の使われ方は1:1なのですが、糖質を使う割合がどうしても増えてしまいます。
なぜなら、身体は脂肪より糖質の方がエネルギー源にするのが簡単だからです。
よって、体内に蓄えてある糖質をすぐに消費してしまうため、初心者ランナーほど補給食によるこまめなエネルギー補給が重要なのです。
※脂肪をいかに効率良くエネルギー源として活用できるかのトレーニング方法についてはこちら↓
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エネルギーの枯渇を防ぐためには「糖質」が最重要
マラソンを完走するためには、補給食によるエネルギー補給が重要なのですが、その中でも「糖質」の補給が最重要になってきます。
その理由は、「糖質が枯渇する=足が止まる」に繋がるからです。
アミノ酸やカフェインはあくまで補助として考えておいて下さい。
糖質が枯渇する=足が止まる
体内の糖質はゼロになるまで走り続けられる訳ではなく、1/3減っただけでも筋収縮に影響が出てくると考えられています。
糖質を消費する量が多く、途中で補給もできていない場合、筋肉を動かすことができなくなります。
つまり、「糖質が枯渇する=足が止まる」ことに繋がるのです。
逆に言えば、糖質を補給し続けることができれば、エネルギー切れが原因で走れなくなるということはありません。
このように、マラソンレースでの補給食で1番大切なことは、「糖質」をいかに切らさないようにするかなのです。
アミノ酸やカフェインはあくまで補助
マラソンでの補給食の中には、アミノ酸やカフェインなどの有効成分を含んでいる食品もありますが、それはあくまで補助として考えておきましょう。
エネルギー補給の優先順位としては、まず第1に糖質補給です。
第2として、糖質や脂肪の代謝を促すビタミンB群や、汗で出ていく塩分を補給するためのミネラルです。
その次にやっと筋肉疲労を軽減するアミノ酸や、集中力が高まるカフェインなどの成分が補助としてきます。
マラソンで効果的なエネルギー補給をする際は、この優先順位を間違えないことが大切です。
マラソンでの補給食の選び方
マラソンでの補給食は以下の5つのポイントで選んでみて下さい。
①おいしさ
②補給できるエネルギー量
③携帯しやすさ
④消化のしやすさ
⑤+αの栄養素
①おいしさ
補給食を選ぶ上で1番大切なのは味のおいしさです。
いくらエネルギーを補給できるからと言って、味が好みじゃなければ、毎回食べることがストレスに感じてしまいます。
できればおいしいと感じられるものを、おいしいとまでは言えなくても、「これなら全然食べられる」と思える味の補給食を選ぶようにしましょう。
②補給できるエネルギー量
補給できるエネルギー量(カロリー)ができるだけ多いものを選ぶようにしましょう。
完走レベルのランナーだと、糖質を消費する量が多くなるため、より多くの糖質を補給する必要があります。
1回あたりに補給できるエネルギー量が多ければ多いほど、糖質の枯渇を防ぐことができるようになります。
③携帯しやすさ
補給食は携帯しやすいサイズの物を選びましょう。
レース中は補給食をポーチなどに入れて、持ったまま走ることになります。
完走レベルのランナーになると、携帯する補給食の数は4〜5個は必要になってくるため、大きなサイズの物を携帯すると、荷物になって走りにくくなります。
④消化のしやすさ
消化がしやすく、胃腸に負担がかからない補給食を選ぶようにしましょう。
固形物は消化に時間がかかるため、できるだけジェル状でスッと喉を通ってくれるものが適しています。
満足感で言えば固形物の方が高いため、どうしても食べたい場合は、消化の良い果物なら大丈夫です。
⑤+αの栄養素
最後に、糖質補給+αの栄養素としてどんな物が含まれているかで選ぶようにしてみて下さい。
筋肉疲労を軽減するアミノ酸や、集中力を高めるカフェイン、足つりを予防するマグネシウムなどが代表的な栄養素になります。
中でもカフェインの摂取は、持久運動能力が向上することがエビデンスレベルの高い研究で認められています。
カフェインには利尿作用もあるため、レース後半の25km〜30kmを目安に摂取するようにしてみて下さい。
レース前とレース中の補給食を取るタイミング
レース前は「レース1時間前〜30分前」に補給食を食べます。
レース中は「1時間に1回」のペースで補給食を食べます。
レース前は「レース1時間〜30分前」
レース当日は、しっかりと朝食が摂れてエネルギーが満たされた状態でスタートを迎えられることが理想です。
しかし、朝はあまり量が食べられなかったり、会場までの移動時間が長くなったりして、スタート前に小腹が空いてきてしまう場合があります。
そこで、レース前に充分な糖質を満たせるように、補給食を活用しましょう。
消化時間を考えると、レース1時間前〜30分前には補給し終えておきたいところです。
固形物は胃に残りやすいため、ここではエネルギージェルがおすすめです。
果物であれば消化にそんなに時間はかからないため、バナナでもいいでしょう。
ただ、ここで食べすぎてしまうと、走り出してから消化不良が起こり、お腹が痛くなってしまったり、身体が思うように動かないようになってしまったりする可能性もあるため注意が必要です。
エネルギーの枯渇を防ぐためには、補給食でさらに糖質を補給できるに越したことはありませんが、自分のお腹の調子と相談しながら補給するようにしましょう。
レース中は「1時間に1回」
レース中に補給できる糖質は、1時間あたり70〜80g摂取でき、30〜40分かけて体内に吸収されると言われています。
ただ、実際にはどこまで吸収して使えるかは個人差やその時の体調も関わってくるので、どこまでレース中に補給できるかは、正直分からない部分ではあります。
答えとして言えることは、「できるだけこまめに糖質を補給することで、エネルギー切れのリスクを下げることができる」ということです。
そこで、レース中は1時間に1回を目安に補給食を摂るようにしてみてください。
ランニング初心者がフルマラソンにチャレンジする場合、完走するのに5時間〜6時間はかかることが想定されるため、補給食はレース中に4〜5回食べることになります。
後半になってくると、疲労もあって食欲が落ちてくる場合もありますが、この糖質補給を怠ってしまうと、30km以降にエネルギーが枯渇してしまい、足が止まってしまいます。
そのため、お腹が空いたと感じる前のレース前半の段階から、1時間に1回補給食で糖質を補給するようにしていきましょう。
補給食を摂るタイミングは、給水所が遠くに見えた時がおすすめです。
なぜなら、補給食を食べた後に給水所の水で口の中をスッキリさせることができるからです。
ただ、この時の水分は口をゆすぐ程度にしておかないと、胃に溜まり過ぎてお腹の調子を崩す可能性もあるので注意しておきましょう。
レース前におすすめの補給食
レース前は軽量性は必要ないため、エネルギーがしっかり摂れて、味もできるだけおいしく食べられるものを選びます。
そんなレース前におすすめの補給食は以下の5つです。
①アミノバイタル パーフェクトエネルギー
②inゼリー エネルギー
③超速リカバー
④リポビタンゼリーforスポーツ
⑤バナナ
①アミノバイタル パーフェクトエネルギー
味はグレープフルーツ味で、1本で180kcalを摂ることができ、エネルギー源アミノ酸(アラニン+プロリン)も含まれています。
②in ゼリー エネルギー
「ウィダーinゼリー」と言った方が馴染みのある方も多いかと思います。
味はマスカット味で1本で180kcalを摂ることができ、エネルギー代謝に関わるビタミンB群も含まれています。
③超速リカバー
味はレモン味で、1本で176kcalを摂ることができます。
飲む点滴と言われる「糀あま酒(お米発酵物)」をベースに、余計なものが入っていないため、人工甘味料が苦手な方におすすめです。
④リポビタンゼリーforスポーツ
味はマスカット味で、1本で200kcalを摂ることができ、エネルギー代謝に関わるビタミンB群、疲労の軽減に繋がるクエン酸、足つり予防に繋がるマグネシウムまで含まれています。
⑤ バナナ
果物の中ではバナナが1番優秀です。
バナナは果物の中ではエネルギー量が多く、1本あたり80kcal摂ることができます。
他にも、エネルギー代謝に関わるビタミンB群、足つりの予防に役立つカリウムやマグネシウム、筋肉のエネルギー源になるBCAAなどの栄養素も含まれています。
レース中におすすめの補給食
レース中は携帯しやすいコンパクトサイズかつエネルギーの補給が必要なので、エナジージェルが適しています。
そんなレース中におすすめの補給食は以下の5つです。
①アミノバイタル アミノショット パーフェクトエネルギー
②アミノサウルスジェル
③ウィンゾーン エナジージェル
④メダリスト エナジージェル
⑤アンドゥー
①アミノバイタル アミノショット パーフェクトエネルギー
アミノバイタルパーフェクトエネルギーを濃縮したコンパクト版です。
味はグレープフルーツ味で、1本で109kcal摂ることができ、エネルギー源アミノ酸(アラニン+プロリン)も含まれています。
走りながらでも開封がしやすく、切れ端が残らないように工夫されています。
②アミノサウルスジェル
1本で111.6〜123.3kcalを摂ることができ、足つりの予防に繋がるマグネシウム、筋肉のエネルギー源になるアミノ酸、疲労回復のサポートをするクエン酸が含まれています。
味はマンゴー風味とレモン風味の2種類から選ぶことができます。
マンゴー風味の方が少しだけ高カロリー(123.3kcal)でカフェインが含まれていて、レモン風味はカフェインの代わりにBCAAが含まれています。
③ウィンゾーン エナジージェル
1本で115kcalを摂ることができ、足つりの予防に繋がるマグネシウム、脂質の活用をサポートするヒドロキシクエン酸が含まれています。
味がパイナップル、マスカット、オレンジ、シークァーサーの4種類から選ぶことができ、オレンジ味にはカフェインが含まれています。
④メダリスト エナジージェル
1本で105〜107kcalを摂ることができ、果糖やハチミツなどの天然系成分を使っています。
ゼリーとジェルの中間くらいの半固形タイプで、噛むことで満足感を得ることができ、口中もベタつきません。
味がグレープフルーツ、ブドウ、リンゴ、コーヒーの4種類から選ぶことができ、コーヒー味にはカフェインが含まれています。
⑤アンドゥー
1本で100kcalを摂ることができ、青のパッケージは塩分も摂ることができます。
エネルギージェルは、味が濃くて飲みにくく、美味しいとは言えないものが多い中で、ANDOはさらっと飲めて味も普通に美味しいのが特徴です。
エネルギージェルの味がどうしても苦手な方におすすめです。
給食エイドを楽しむのもあり
マラソン大会の中には、給食が充実している大会もあります。
例えば大阪マラソンでは、30km手前になると「まいどエイド」と呼ばれる給食所があり、冷やしパイン、ぶどう、まんじゅう、からあげ、コロッケ、たこ焼きなどが振る舞われます。
補給食の観点から言えば、からあげやコロッケ、たこ焼きは消化に負担がかかるため適していません。
しかし、せっかくのマラソン大会なので、ここは割り切って給食を楽しむという方法もあります。
また、エネルギージェルばかり食べていると飽きてくることもあるため、食べたいと思うものがあったら食べてみるのも、食欲が満たされて良い気分転換にもなります。
ただ、後半になればなるほど給食の在庫が無くなってきて食べられない可能性もあるため、補給食は準備しつつ、補足として給食所を利用するようにしておきましょう。
食べたいと思うものがあれば、食べ過ぎには充分に注意しながら、せっかくの給食も楽しんでみて下さい。
まとめ
今回は、「マラソンでのエネルギー補給戦略とおすすめの補給食」についてお話しさせていただきました。
今回の話はあくまでベーシックの話になります。
というのも、お腹の空き具合や消化吸収能力、好みの補給食は人それぞれで、これが絶対正解というものはないからです。
まずはベーシックな内容から試してみて、その結果をもとに自分でも色々と試して、補給するタイミングや好みの補給食を見つけていって下さい。
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