「睡眠の質が上がると、ランニングでの疲労がもっと取れるのかな?」
「ランニングでの疲労を効果的に回復するための睡眠の取り方が知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
ランニングばかりしていると、疲労が蓄積してしまい、疲労の蓄積が大きくなると、ケガに繋がってしまいます。
質の良いトレーニングをするためには、効果的に疲労を回復していく必要があります。
その疲労回復に最も貢献してくれるのが「睡眠」です。
「睡眠」は、美容や健康のためにランニングをする方にとっても、マラソン大会で記録更新を目指す方にとっても、日々のコンディションやパフォーマンスに大きく関わってきます。
「睡眠」が大切なことは分かっていても、ついつい疎かにしてしまっていませんか?
また、どんなことに気をつけたらぐっすり眠って疲労が回復できるか知っていますか?
そこで今回は、ランニングでの疲労回復に大きく貢献する「睡眠の取り方」をご紹介します。
重要なことは、「最適な睡眠時間を最優先に確保する」こと、「睡眠の質を最大限に高める準備をする」ことです。
具体的な方法をお伝えする前に、あなたの睡眠不足度をチェックする方法や、大きな成果を出しているアスリートやビジネスパーソンの睡眠時間についてもご紹介していきます。
この記事を読むことで、あなたの睡眠不足度をチェックすることができ、睡眠の重要性を理解することで、ランニングでの疲労回復に大きく貢献する「睡眠の取り方」を身に付けることができるようになります。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかに、より楽しく走れる走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスし、200名以上のランナーをマンツーマンで指導してきた実績があります。
目次
ランニングでの疲労回復に大きく貢献する正しい睡眠の取り方
ランニングでの疲労を回復するためには、以下の2点を抑えて睡眠を取ることが大切です。
ポイント
①最適な睡眠時間を最優先に確保する
②睡眠の質を最大限に高める準備をする
それぞれ解説していきますね。
①最適な睡眠時間を最優先に確保する
最適な睡眠時間に関しては、今日までに様々な研究がされてきましたが、その研究結果の多くが「7〜9時間の睡眠時間」を取ることを推奨しています。
そして、睡眠時間が6時間未満でも10時間超でも脳や健康に悪い影響を与えることが分かっています。
中には、「ショートスリーパー」と呼ばれ、短い睡眠時間でも大丈夫な方もいます。
これは、トレーニングすれば身に付けられるものではなく、遺伝子レベルでの違いだということが分かっていて、その遺伝子を持っている人は0.5%しかいません。
つまり、ほとんどの方は、疲労を回復して高いパフォーマンスを発揮するためには、「7〜9時間の睡眠時間」を確保することが必要になります。
どんなに忙しくても、心身の最低限の健康を維持するために、最低6時間は睡眠時間を確保するようにしましょう。
そして、7〜9時間の中で1番自分の体調が良いと感じる睡眠時間を、色々と試しながら見つけてみてください。
6時間を切るような日が続くと、「睡眠負債」といって、睡眠不足の借金がどんどんたまっていくことになります。
借金同様、睡眠も不足がたまって返済が滞ると、利子もついて脳も身体も思うようにならない「眠りの自己破産」を引き起こします。
とは言っても、「現状だとそんなに睡眠時間は確保できそうもない」という方も多いと思います。
日本人は、睡眠時間が6時間未満の人が約40%と言われていて、先進国の集まりであるOECD(経済協力開発機構)加盟37カ国中で、睡眠時時間はワースト1位ですからね。
そこで、次のポイントを抑えるようにしてみてください。
②睡眠の質を最大限に高める準備をする
睡眠の質は、「最初の90分をいかに深く眠るか」にかかっています。
睡眠の最初の90分は、睡眠全体の中で最も深い眠りであるノンレム睡眠(脳も身体も眠っている睡眠)であり、成長ホルモンが最も分泌されるゴールデンタイムと言われています。
成長ホルモンは、細胞の増殖や正常な代謝を促進させる働きがあります。
つまり、最初の90分を深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、疲労回復に大きく貢献することができます。
また、仮に5時間しか睡眠時間が取れない日があっても、最初の90分が深く眠れていたら、その5時間の睡眠の質を最大限に高めることができるのです。
このように、ランニングでの疲労を効果的に回復するためには、あなたにとって最適な睡眠時間を最優先に確保して、睡眠のゴールデンタイムの質を最大限に高めていくことが大切になります。
ただ、人にはそれぞれの睡眠のタイプや置かれた事情があります。
そこでまずは、「自分の現状はどうなんだろう?」ということを把握することから始めましょう。
睡眠負債チェック
平日・休日含め直近2週間ほど、どのような睡眠をとっているかを分析します。
ノートやスマホのメモ機能を使って、眠っていた時間帯、睡眠時間、その日の気分や体調について記録しましょう。
その記録をもとに、以下の項目に答えてみてください。
【チェック1】
☑️ 休日の睡眠時間が、平日より2時間を超える
(例:平日の睡眠時間が5時間、休日は7時間半など)
【チェック2】
☑️ 朝目覚めるのが辛く、スッキリ感がない
☑️ 午前中、眠気を感じることが多い
☑️ 気がつくと、電車やソファでうたた寝をしてしまう
☑️ いつでもどこでも眠れるのが特技
☑️ 寝たはずなのに、疲れが残っている
・チェック1に当てはまったら睡眠負債確定
・チェック1に当てはまらなくても、チェック2で1つでも当てはまる人は、睡眠の質が悪いか、睡眠時間が足りていない可能性大
「ミュンヘンクロノタイプ」をチェックすることで、あなたの睡眠について更に詳しく知ることができます。
クロノタイプとは、「朝型・夜型」といった1人ひとりの時間に関するタイミングのことを指します。
以下のサイトを利用すれば、無料であなたに最適な寝付く時刻、起きる時刻、睡眠不足度、社会的ジェットラグの時間数などを分析してもらえます。
次に、大きな成果を出しているアスリートやビジネスパーソンは、普段どのくらい睡眠時間を取っているのでしょうか?
参考になると思うので、ご紹介しますね。
あのアスリートやビジネスパーソンの睡眠時間は?
睡眠が疲労の回復に大きく貢献してくれることはなんとなく分かっていても、日々の忙しさを理由についつい疎かにしてしまいがちですよね?
では、大きな成果を出しているアスリートやビジネスパーソンは、睡眠時間をどのくらい取っているのでしょうか?
ここでは、その一例をご紹介します。
マラソンの世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手は、夜は8時間、昼寝で2時間の合計10時間の睡眠時間を取っています。
マラソンの日本記録を2度塗り替えた大迫傑選手は、夜に10時間の睡眠時間を取っています。
アスリートは身体が資本なため、コンディションを整えるために充分な睡眠時間を確保しているようです。
ただ、この睡眠時間は身体を酷使しているアスリートだからであって、一般の方が真似するような現実的な睡眠時間とは言えませんよね。
では、ビジネスパーソンはどうでしょうか?
アマゾン共同創設者のジェフ・ベゾスは1日8時間、マイクロソフト創設者のビル・ゲイツ、アップルCEOのティム・クックは1日7時間の睡眠時間を取っています。
そう、多忙を極めるようなビジネスパーソンであっても、7〜8時間の睡眠時間を確保することを優先しているのです。
このように、アスリートや世界のエグゼクティブは、食事に注意し、身体を鍛えてメンテナンスすることと同様に、睡眠を大切にしています。
睡眠(寝ている時間)と覚醒(起きている時間)は2つで1つです。
良い睡眠がなければ良い覚醒はありません。
つまり、睡眠という基礎があってこそ、日々のトレーニングの効果が上がるということですね。
それだけ、最適な睡眠時間を確保することは、身体にとっての最優先事項と言えるのです。
睡眠時間を確保できたら、次は睡眠の質を最大限に高める方法をご紹介します。
睡眠の質を最大限に高める方法
睡眠の質を最大限に高めるためには、様々な準備があります。
ここでは、その中でこれだけはやっておいて欲しいということを、以下の3つに絞ってご紹介します。
ポイント
①朝日を浴びる
②入浴は就寝時刻の60分〜90分前に終わらせる
③同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる
それぞれ解説していきますね。
①朝日を浴びる
あなたがその日の晩、質の良い睡眠を得られるかどうかは、実は朝の段階で既に決まっています。
その理由は大きく2つあります。
1つは、体内時計のリセットが朝に行われること。
遅くても10時までの時間帯に、太陽の日差しを網膜に感じることで、体内時計の24.2時間がリセットされて、地球の24時間のリズムに整います。
だから、目が覚めたらすぐに起き上がり、カーテンを開けて太陽の日差しを浴びてください。
まだ暗い時間の場合や、雨や曇りの場合でも、「起きたらカーテンを開ける」ということを習慣化しておきましょう。
そうすることで、天候が悪い中でも、太陽の日差しを感じやすい環境を作ることができます。
もう一つは、セロトニンの分泌を促進するためです。
セロトニンは夕方になると、睡眠を促してくれるホルモンであるメラトニンに変わります。
また、セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、イライラや不安を取り除いて楽しく穏やかな気分を作り出してくれます。
つまり、朝一番に太陽の日差しをしっかり浴びてセロトニンをたくさん放出しておけば、夜に質の高い睡眠が手に入るだけではなく、その一日をベストなコンディションで過ごすことができるのです。
②入浴は就寝時刻の60分〜90分前に終わらせる
忙しいとつい、ゆっくりお風呂に入る時間すら省略したくなるかもしれません。
特に、夏はシャワーだけで済ませてしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし、睡眠の質を最大限に高めるためには、「入浴」は必須事項です。
良い寝付きのカギを握るのが、「深部体温」と「皮膚体温」の差です。
覚醒時の深部体温は、皮膚体温より2℃ほど高くなっています。
入眠時にはまず手足からの熱放散が起こり、手足の皮膚温度が上ります。
続いて深部体温が下がり、手足の皮膚温度との差が小さくなることで、脳も身体もゆっくりと休息に入り、同時に眠気が起きます。
つまり、睡眠に入る時には、深部体温を下げ、皮膚温度は上げて差を縮めることが必要なのです。
そんな、深部体温と皮膚体温をより縮める方法として有効なのが「入浴」です。
40℃のお風呂に15分入った後に深部体温を測定すると、0.5℃上がっていたという実験データがあります。
この「深部体温が一時的に上がる」というのが重要で、深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする性質があります。
なので、入浴で深部体温を意図的に上げれば、入眠に必要な「深部体温の下降」がより大きくなり、熟睡につなげることができます。
0.5℃上がった深部体温がもとに戻るまでの所要時間は約60〜90分。
つまり、寝る60分〜90分前に入浴を済ませておけば、その後更に深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズな入眠ができるのです。
③同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる
「平日はどうしても寝不足になってしまうから、休日に寝溜めしないとね」と考えていませんか?
その考えは今すぐにやめておきましょう。
「平日の寝不足を休日に補う」という行動は、自ら時差ボケ(社会的ジェットラグ)を起こしてしまうことになるからです。
「眠りに落ちた時刻」と、「朝起きた時刻」の中間時刻を「睡眠中央時刻」と呼び、平日と休日におけるこの睡眠中央時刻の差が、自ら作り出している時差ボケの時間になります。
例えば、平日は24時に寝て朝5時に目覚めます。休日は深夜1時に寝て朝11時に目覚めるとします。
それぞれの睡眠中央時刻は平日が深夜2時半、休日は朝5時となり、2時間半もの時差を自ら作り出していることになるのです。
こんなことを普段からしていたら、日中は時差の影響で身体がしんどいのも当たり前ですよね?
こうした時差ボケを日常の中で引き起こさないためには、毎日、同じ時刻に寝て同じ時刻に起きることが一番です。
なかなかそれは難しいという場合は、せめて毎朝同じ時刻に起きることから始めてみてください。
それも難しい場合は、2時間までの朝寝坊であれば大きな問題は起きないと考えられています。
すなわち、普段6時に起きている人が休日に寝坊する場合、8時までならOKということです。
まとめ
今回は、「ランニングでの疲労回復と睡眠」をテーマにお話しさせていただきました。
話をまとめますね。
【ランニングでの疲労回復に大きく貢献する正しい睡眠の取り方】
①最適な睡眠時間を最優先に確保する
・疲労を回復して高いパフォーマンスを発揮するためには、「7〜9時間の睡眠時間」を確保することが必要
②睡眠の質を最大限に高める準備をする
・睡眠の質は、「最初の90分をいかに深く眠るか」にかかっている
【睡眠負債チェック】
「ミュンヘンクロノタイプ」
無料であなたに最適な寝付く時刻、起きる時刻、睡眠不足度、社会的ジェットラグの時間数などを分析できる
【睡眠の重要性】
・アスリートや世界のエグゼクティブは、食事に注意し、身体を鍛えてメンテナンスすることと同様に、睡眠を大切にしている
・睡眠という基礎があってこそ、日々のトレーニングの効果が上がる
【睡眠の質を最大限に高める方法】
①朝日を浴びる
・体内時計のリセット
・セロトニンの分泌を促進する
②入浴は就寝時刻の60分〜90分前に終わらせる
・睡眠の質を最大限に高めるためには、「入浴」は必須事項
・寝る60分〜90分前に入浴を済ませておけば、スムーズな入眠ができる
③同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる
・時差ボケを日常の中で引き起こさないため
・2時間までの朝寝坊であれば大きな問題は起きない
というお話しでした。
睡眠は身体の疲労を回復させるだけではなく、記憶を整理して定着させる働きや、ホルモンバランスを整えて免疫力を上げる働き、脳の老廃物を取る働きなど、様々な重要な働きがあります。
忙しい日々を過ごしていると、どうしても睡眠時間を削りがちですが、その睡眠負債も積もれば積もるほど、身体にかかる負担はどんどん大きくなっていきます。
今置かれている状況では、今回ご紹介した3つの方法を全て実践することが難しい方も多いとは思います。
そんな中でも、できることを1つでも多く、1日でも多く実践していただいて、少しづつでも睡眠の取り方を改善してみてください。
できていない方が多いからこそ、睡眠の取り方を改善するだけで、あなたのコンディションは驚くほど上がっていきますよ。
それでは、また。
※参考図書
最強の睡眠 世界の最新論文と 450年企業経営者による実践でついにわかった