「フルマラソンには30kmの壁があるっていうけど、どういうこと?」
「フルマラソンの30km以降にいつも失速してしまうけど、どうしてなのかな?」
「最後まで失速せずに、フルマラソンを完走できるための対策があれば知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
あなたは、マラソン大会で30km以降に急に失速してしまったり、走れなくなってしまった経験はありませんか?
この現象は、フルマラソンの「30kmの壁」と言われています。
一方、フルマラソン世界記録保持者であるキプチョゲ選手を代表するように、30km以降に失速するどころか、ペースアップできるランナーもいます。
この違いは何なのでしょうか?
そして、「30kmの壁」を克服するための対策は、なにかないのでしょうか?
そこで今回は、フルマラソンの30km以降に失速してしまう原因を解説した上で、失速しないための対策についてご紹介します。
この記事を読むことで、フルマラソンでの「30kmの壁」を乗り越え、最後まで失速せずにフルマラソンを完走できるようになります。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
なぜ、フルマラソンは30km以降で失速してしまうのか?
フルマラソンの30km以降で失速してしまう主な原因は以下の3つです。
①ロング走不足
フルマラソンを完走するためには、長い時間走り続けられる気力と体力が必要です。
普段の練習から、長い時間走り続ける練習ができていないと、そもそも失速せずに完走できるための準備ができていません。
②オーバーペース
レース本番でのペース設定が速すぎる可能性があります。
フルマラソンを失速せずに走り切るためには、「LTペース未満でのペース設定」が重要です。
③エネルギーの枯渇
体内に蓄えているエネルギー源が枯渇して、エネルギー切れを起こしている可能性があります。
レース中に体内のエネルギーが枯渇しないような、「エネルギーマネジメント」が重要です。
それぞれ詳しく解説し、その対策をお伝えしていきますね。
ロング走不足
フルマラソンを完走するために必要な練習が、不足していたパターンです。
フルマラソンを失速することなく完走するためには、定期的に長い時間(90〜120分)走り続ける練習が必要です。
長い時間走り続ける練習(ロング走)を取り入れることで、フルマラソンを完走するために必要な気力と体力を養うことができます。
いくら月間200km走ったといっても、1回の練習が10kmしか走っていなければ、その4倍以上の距離であるフルマラソンを、失速することなく走り切ることは難しくなります。
ロング走ができていないと、長い距離を走ることに対して精神的に慣れていないため、途中で走り続けることが辛くなり、脚が止まってしまいます。
また、走り続けるために必要な筋持久力が十分に身に付いていないため、脚力に限界がきてしまい、脚が止まってしまいます。
★対策★
週1回90分〜120分のロング走を、レース本番の半年前から(遅くても3ヶ月前から)取り入れましょう。
筋持久力を養成するための強度設定は、おしゃべりをする余裕があるペースで、心拍ゾーンで言うと、「ゾーン3」が目安になります。
ペース設定が速すぎると、筋持久力の養成には向かない練習強度になってしまうため、ランニングウォッチを活用して、心拍ゾーンで強度を管理することをおすすめします。
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レース本番の1ヶ月〜3週間前には、30km走を実施し、失速することなく余裕度を残して走り切れたら、本番も失速することなく完走できる準備ができたことになります。
オーバーペース
レース当日を、その日の実力以上のペース設定で走ってしまったパターンです。
・周りのランナーのペースにつられて、ついついペースが上がってしまう
・レース序盤がいつも以上に調子がよくて、そのままハイペースで突っ込んでしまう
・サブ4を達成したいから、何がなんでもキロ5分30秒〜40秒ペースを維持しようとする
など、オーバーペースになってしまう要因は様々あります。
レース後半に失速してしまう方のほとんどの原因は、この「オーバーペース」です。
オーバーペースにならないためには、「LTペース」を意識することが大切です。
「LTペース」とは、ペースを上げていった時に、乳酸が血中に急増し始めるペースのことを言います。
このペースを超えて走ってしまうと、人の身体は60分以上の運動をすることができなくなります。
つまり、レース当日を、LTペースを超えないペース設定で走り続けることで、急な失速を防ぐことができます。
★対策★
レース当日のペース設定を見直します。
フルマラソンを失速することなく完走するためには、「心拍ゾーン4」を目安にしてペースを設定することが大切です。
なぜなら、心拍ゾーン4に収まっていれば、個人差はありますが、おおかたLTペースを超えないペースで走ることができるからです。
「キロ○分ペースで走る」だけでペース設定をしてしまうと、レース当日の体調や気温によって、普段は楽に走れるペースでも身体にかかる負担が変わるため、LTペースを超えてしまう恐れがあります。
よって、日頃の練習で心拍ゾーン4になるペースを参考に、「キロ○分ペースで走る」と設定しつつ、心拍ゾーンが4を超えてしまうなら、ペースを落としてゾーン4までに収まるペースで走りましょう。
心構えとして、「10kmまでは準備運動、35kmまでが前半戦、勝負は35km以降」と考えておくと上手くいきます。
ちなみに、LTペースの上限は、トレーニングを積むことによって引き上げることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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エネルギーの枯渇
エネルギーマネジメントが上手くいかず、体内のエネルギーが枯渇してしまったパターンです。
フルマラソンでエネルギーが枯渇しないために、栄養補給で1番大切なことは、「糖質」を常に切らさないように補給し続けることです。
なぜなら、体内の糖質が枯渇する=エネルギー切れで脚が止まるからです。
ランニング中は糖質以外にも、体内に豊富にある脂肪をエネルギー源として活用するのですが、その脂肪をエネルギーとして使う際にも糖質は必要になります。
また、プロや実業団などのトップランナーであれば、トレーニングを積んで、効率良く脂肪をエネルギー源として活用できるため、糖質の補給は最小限で済むのですが、初心者ランナーはそうはいきません。
体内の糖質をすぐに消費してしまうため、小まめに補給する必要があるのです。
つまり、マラソンのエネルギーマネジメントが成功するかどうかは、「糖質をいかに切らさないように補給し、脂肪をいかに効率良くエネルギー源として活用できるか」にかかっているのです。
★対策★
糖質をいかに切らさないように補給するかは、下記の記事で詳しくご紹介していますので、ご確認ください。
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脂肪をいかに効率良くエネルギー源として活用できるかは、先程ご紹介したLTペースを超えないペース設定が重要です。
なぜなら、LTペースを超えてしまうと、糖質の消費量が急激に上がってしまい、エネルギーが早期に枯渇して失速してしまう原因となるからです。
LTペースを超えないペース設定で走り続けることで、体内に豊富にある脂肪を効率良くエネルギー源として活用でき、エネルギーの枯渇を防ぐことができます。
まとめ
今回は、「30kmの壁の原因と対策」をテーマにお話しさせていただきました。
話をまとめますね。
【なぜ、フルマラソンは30km以降で失速してしまうのか?】
・フルマラソンの30km以降で失速してしまう主な原因は以下の3つ
①ロング走不足
②オーバーペース
③エネルギーの枯渇
【ロング走不足】
・ロング走ができていないと、長い距離を走ることに対して精神的に慣れていないため、途中で走り続けることが辛くなり、脚が止まってしまう
・走り続けるために必要な筋持久力が十分に身に付いていないため、脚力に限界がきてしまい、脚が止まってしまう
★対策★
・週1回90分〜120分のロング走を、レース本番の半年前から(遅くても3ヶ月前から)取り入れる
・強度設定は、おしゃべりをする余裕があるペースで、心拍ゾーンで言うと「ゾーン3」
【オーバーペース】
・レース当日を、その日の実力以上のペース設定で走ってしまった
・オーバーペースにならないためには、「LTペース」を意識することが大切
★対策★
・「心拍ゾーン4」を目安にしてペースを設定する
・心拍ゾーン4に収まっていれば、LTペースも超えない
【エネルギーの枯渇】
・エネルギーが枯渇しないために、「糖質」を常に切らさないように補給し続ける
・マラソンのエネルギーマネジメントが成功するかどうかは、「糖質をいかに切らさないように補給し、脂肪をいかに効率良くエネルギー源として活用できるか」にかかっている
★対策★
・糖質補給に関してはこちら↓↓↓
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・脂肪をいかに効率良くエネルギー源として活用できるかは、LTペースを超えないペース設定
というお話しでした。
30km以降に周りのランナーが失速していく中で、失速するどころかペースを上げることができると、精神的にも気持ち良く走ることができます。
完走後も、失速してゴールした時と比べて、気持ちの余裕があるため、より大きな達成感を感じることができます。
今回の記事を参考に、ぜひ30km以降に失速しないフルマラソンの楽しさと達成感を感じてみてください。