「マラソン大会前に行うカーボローディングってなんのこと?」
「初心者ランナーにカーボローディングは必要ないって聞くけど本当?」
「マラソン大会前のカーボローディングについて、食事メニューなどの具体的な方法が知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
マラソン大会前になって色々と調べていると、「カーボローディング」という言葉を聞くことが多くなります。
マラソン大会前の定番でもある「カーボローディング」ですが、初心者ランナーには必要ないという意見もあります。
結論から言うと、「マラソン初心者もカーボローディングはやった方が良い」です。
そこで今回は、カーボローディングの方法と、初心者ランナーもやった方が良い理由を解説し、具体的な食事メニューや実施する際の注意点までお伝えします。
この記事を読むことで、マラソン大会前に自分に合ったカーボローディングを実施することで、レース中のエネルギー切れによる大失速の予防や、レース後の疲労感を軽減することができるようになります。
この記事を書いてる僕は、2つの医療系国家資格(鍼灸師・柔道整復師)と栄養指導の資格(スポーツ栄養医学指導士)を保有している日本で唯一のランニングトレーナーです。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
目次
カーボローディングとは?
カーボローディングとは、レース中にエネルギー切れを起こさないために、糖質を体内にできるだけ蓄えることを目的に行われる食事法です。
炭水化物(糖質)は英語で「carbohydrates(カーボハイドレイト)」といい、 カーボローディングは、 炭水化物を充填する「loading(ローディング)」という意味の造語です。
体内で貯蔵される糖質「glycogen(グリコーゲン)」を充填するという意味で、グリコーゲンローディングとも言われます。
カーボローディングの方法は、古典法と改良法があります。
古典法は、レース1週間前から始め、最初の4日間は糖質の摂取を控え、高強度の練習をすることで、体内の糖質を枯渇させます。
その後の3日間を高糖質食に切り替えることで、糖質が枯渇した状態から一気に糖質を体内に蓄えさせる方法です。
改良法は、レース3日前から始め、食事を高糖質食にするだけです。
古典法だと、低血糖状態でハードなトレーニングをする必要があり、体調を崩してしまうリスクがあったため、改良法が考えられました。
研究の結果、改良法でも充分に体内での糖質の貯蔵量の増加が見られたため、現在は改良法が主流となっています。
特に、市民ランナーレベルであれば、古典法は心身への負担が大きすぎるので、改良法で充分と言えるでしょう。
マラソン初心者もカーボローディングはやった方が良い
カーボローディングは、記録更新を狙いに行く上級者ランナー向けの食事法であって、初心者ランナーには必要ないという意見もみられます。
結論から言うと、「マラソン初心者もカーボローディングはやった方が良い」です。
その理由は、以下の3つあります。
①マラソン初心者ほど、燃費が悪いから
②糖質が枯渇してしまうと、走れなくなってしまうから
③マラソン後の疲労を軽減できるから
それぞれ解説していきます。
①マラソン初心者ほど、燃費が悪いから
マラソンのトレーニング方法の1つとして、あえて朝の糖質が枯渇した状態で走る方法があります。
これは、糖質ではなく脂質をエネルギーに変える働き(脂質代謝)を高めるためです。
このようなトレーニング方法を取り入れつつ、日々走り込んでいる上級者ランナーは、レース中の糖質補給は最小限で済みます。
一方、初心者ランナーは、糖質の消費割合が多くなりがちで、補給しないとすぐに枯渇してしまいます。
例えるなら、上級者ランナーは燃費の良いハイブリットカー、初心者ランナーはガソリンを垂れ流すアメ車といったところでしょうか。
よって、燃費の悪い初心者ランナーこそ、レース前からカーボローディングで糖質を蓄えておく方が良いのです。
②糖質が枯渇してしまうと、走れなくなってしまうから
走り続けるためには、エネルギーが必要です。
体内のエネルギー源は、「糖質・脂質・タンパク質」の3つがありますが、マラソンの運動強度だと、70%〜80%は糖質を使っています。
つまり、糖質が枯渇してしまうと、走れなくなってしまうのです。
初心者ランナーほど、30km以降にエネルギーが切れて走れなくなってしまい、歩いてしまっている姿を多く見かけます。
よって、カーボローディングで事前に糖質を体内に蓄えておくことで、30km以降の大失速を防ぐことができます。
③マラソン後の疲労を軽減できるから
初めてマラソンを完走した後は、脚に相当なダメージが残ります。
階段を降りるのも一苦労で、次の日の仕事に支障が出る可能性もあります。
次の日から仕事がある方は、できるだけ疲労は残したくないでしょう。
マラソン後の疲労の原因の1つが、「筋グリコーゲンの減少」と言われています。
つまり、体内に糖質が充分に蓄えられていれば、マラソン後の疲労を軽減することができるのです。
よって、マラソン後の疲労を軽減するためにも、カーボローディングで糖質を体内に蓄えておいた方が良いのです。
カーボローディングの食事メニュー例
改良法のカーボローディングは、3日前から高糖質食に変えるだけなので、古典法と比べると簡単に実施できます。
とは言え、実際にどんなメニューにしたらいいのか分からなくて、悩んでしまいがちです。
そこで、3日前からの具体的なメニュー例をご紹介します。
【3日前】
朝→卵かけご飯、みそ汁、バナナ
昼→力うどん、みかん
夜→カレー、りんご
【2日前】
朝→納豆ご飯、みそ汁、バナナ
昼→ミートソースパスタ、みかん
夜→親子丼、小うどん、りんご
【前日】
朝→ハニートースト、ヨーグルト、バナナ
昼→塩ラーメン、みかん
夜→うなぎ丼、小うどん、りんご
【当日】
朝→おにぎり、バナナ、カステラ、100%オレンジジュース
1時間前→エネルギージェル1本
【その他】
・そぼろ丼、焼き鳥丼、中華丼
・山かけうどん、わかめうどん、きつねうどん
・焼きそば、お好み焼き
・醤油ラーメン、味噌ラーメン
・ナポリタン、たらこパスタ
・もち、大福
以上のメニュー内容を参考にして、あなたが食べやすいものを選んでみてください。
カーボローディングを実施する際の注意点
カーボローディングを実施する際は、以下の5つのことに注意して行いましょう。
①摂取カロリーは増やさない
②ビタミン・ミネラル不足に注意する
③一時的に体重は増える
④前日NGメニュー
⑤体調を崩すリスクがある
それぞれ解説していきます。
①摂取カロリーは増やさない
高糖質食にするからと言って、甘いものをいくらでも食べていいという訳ではありません。
総カロリー量は変えずに、糖質をとる割合を10〜20%増やすだけです。
なんなら、レースの2週間前から練習量を落としていくため、摂取カロリーは少し減らしてもちょうどいいくらいです。
②ビタミン・ミネラル不足に注意する
糖質は糖質でも、ケーキや菓子パンに含まれる砂糖でカーボローディングをすると、ビタミンやミネラルが不足してしまいます。
ビタミンやミネラルは、身体の代謝に関わる重要な栄養素です。
ご飯や麺、パンなどの主食に加えて、フルーツを取り入れることで、ビタミンやミネラルの不足を防ぐことができます。
③一時的に体重は増える
カーボローディングをすると、一時的に体重は増えます。
これは、グリコーゲンを体内に貯蔵する際に、水も一緒に取り込まれるからです。
よって、1〜1.5kgの体重増加であれば、許容範囲です。
水分による増加分なので、走って汗をかけば、すぐに元の体重に戻ります。
④前日NGメニュー
前日や当日に食べると、お腹の調子を崩してしまう恐れがあるため、以下のものは控えるようにしましょう。
ポイント
・普段口にしないもの
・辛いもの
・脂っこいもの
・生もの
・食物繊維が多いもの
⑤体調を崩すリスクがある
普段の食事から炭水化物を50〜60%とれていないと、糖質が体内に多く入ってきた時に上手く処理できず、血糖値が乱高下してしまいます。(耐糖能の低下)
血糖値の乱高下により、様々な不調(だるさ、眠気、めまい、集中力低下)などの症状が現れる場合があります。
耐糖能が低下している人は、カーボローディングを行うことで、体調を崩すリスクがあるため、ぶっつけ本番ではなく、事前に試しておくことをおすすめします。
レースまでに試す時間がない場合は、前日から糖質補給を多めにしてみてください。
前日からのカーボローディングだと、体調を崩すリスクが少ないため、気軽に実施することができ、ある一定の効果も期待できます。
まとめ
今回は、「カーボローディング」をテーマにお伝えさせていただきました。
初心者ランナーには、カーボローディングは必要ないと言う意見もみられますが、やった方がプラスに働く可能性が高いことがお分かりいただけたでしょうか?
僕自身も、カーボローディングやレース中の糖質補給をしっかりと行うことで、レース後の疲労感が大きく軽減しました。
そんなプラスの面が大きいカーボローディングですが、やり方を間違えたり、人によっては体調を崩してしますリスクもあります。
よって、まずは前日から始めるカーボローディングから試してみてください。
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