
フルマラソンで失速する初心者の多くは、「体力不足」ではなく戦略ミスが原因です。
これまで多くの市民ランナーをサポートしてきましたが、30km以降に崩れるパターンはほぼ共通しています。
・前半のオーバーペース
・補給不足による糖質の枯渇
マラソンは感覚ではなく、「戦略」で走ることが重要なスポーツです。
ここでは、具体的なレース戦略を解説します。
この記事を書いてる僕は、2つの医療系国家資格(鍼灸師・柔道整復師)と栄養指導の資格(スポーツ栄養医学指導士)を保有しているランニングトレーナーです。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
目次
マラソン初心者が30kmで失速するメカニズム
30kmの壁の正体は「筋疲労」と「糖質の枯渇」
30kmの壁は根性論ではありません。
主な原因は2つです。
① 筋ダメージの蓄積
② 筋グリコーゲン(糖質)の枯渇
前半でオーバーペースになると、速筋線維の動員が増えます。
その結果、筋ダメージが早期に進みます。
さらに、強度が高いほど糖質の消費割合が増えます。
つまり、
速く走りすぎる=糖質を無駄遣いしている
ということです。
糖質が枯渇すると、身体は脂質代謝中心に切り替わりますが、脂質はエネルギー産生スピードが遅いため、ペースを維持できません。
これが失速の正体です。
マラソン初心者の正しいペース配分戦略
30kmまでは「抑える」のではなく「管理する」
初心者はよく「前半は抑えましょう」と言われます。
しかし重要なのは感覚ではなく、強度管理です。
目安は以下の通りです。
・心拍ゾーン3〜4
・最大心拍数の75〜85%程度
・LT(乳酸閾値)を超えない強度
LTを超えると乳酸が急増し、エネルギー効率が一気に下がります。
30kmまでは「余裕を残す」のではなく、代謝効率を維持することが目的です。
シンプルな基準はこれです。
「隣の人と短い会話ができるか?」
30kmまでは、この余裕を保ちましょう。
淡々と同じペースを刻む。
これがマラソン初心者の正しい走り方です。
スタート直後は“アドレナリンバイアス”に注意
大会当日は緊張もあり、交感神経が優位になります。
そのため、
・実際より楽に感じる
・心拍数が上がっても気にならない
・ペース感覚がズレる
という状態になります。
これを「アドレナリンバイアス」と呼んでいます。
対策はシンプルです。
最初の10kmは、「ウォーミングアップの延長」と考えること。
ここで抑えられるかどうかが、後半の走りを決めます。

マラソン初心者のエネルギー補給戦略【科学的視点】
フルマラソンは糖質マネジメントが重要
体内に蓄えられる糖質(筋グリコーゲン)は限られています。
個人差はありますが、約2,000kcal前後と言われています。
フルマラソンでは、これをほとんど使い切る可能性があります。
だからこそ重要なのが、レース中に外から糖質を補給することです。
補給のタイミングは“枯渇前”
初心者に多いミスは、「お腹が空いたら補給する」という考え方です。
しかし空腹を感じた時点で、すでにエネルギー低下は始まっています。
推奨は、
・15kmから補給開始
・5kmごとにジェル
・給水所では毎回スポーツドリンク
糖質は一度に大量吸収できません。
小まめに入れることで、できるだけ多くの糖質を補給できるようにします。
塩分不足が脚つりを引き起こす理由
発汗によってナトリウムが失われると、神経伝達が乱れやすくなります。
その結果、
・ふくらはぎ
・ハムストリング
・内転筋
などが痙攣しやすくなります。
スポーツドリンクを活用するのは、水分補給だけが目的ではありません。
電解質補給が重要なのです。
30km以降を粘れるランナーの共通点
後半に強いランナーの特徴は明確です。
・心拍が安定している
・補給が計画的
・リズムを崩さない
特別な才能ではありません。
レース前に戦略を決め、それを淡々と実行しているだけです。
まとめ|マラソンは「根性」より「戦略」
マラソン初心者が快走するために必要なのは、
・強度管理(心拍・LT以下)
・糖質マネジメント
・電解質補給
この3つです。
30km以降に笑えるかどうかは、前半の選択で決まります。
マラソンは我慢比べではありません。
強度とエネルギー補給をコントロールするスポーツです。
次のレースでは、感覚ではなく「戦略」で走ってみてください。
