「マラソンをもっと速く走れるようになって、自己ベストを更新していきたい」
「走力アップしていくために乳酸性作業閾値を向上させるためのトレーニング方法が知りたい」
こんなお悩みが解決できます。
以前の記事で、「マラソンをより楽により速く走れるようになるために知っておくべき5つの要素」をご紹介しました。
今回は、その中の一つである「乳酸性作業閾値」について、マラソンの走力アップに繋がる具体的なトレーニング方法を3つご紹介していきます。
以前の記事をまだ読んでいない方は、こちらからご確認ください。
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マラソンを【より楽により速く】走れるようになるために知っておくべき【5つの要素】とは?
マラソンでより良いパフォーマンスを発揮するには、ただ毎日走っているだけでは思うような結果は得られません。パフォーマンスを構成する5つの要素を理解し、どの要素を伸ばすためのトレーニングなのかを明確にしてトレーニングをすることが大切です。
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この記事を読むことで、マラソンをより楽により速く走るための一つの要素である「乳酸性作業閾値」についての理解を深めることができ、走力アップに繋がる具体的なトレーニング方法を学ぶことができます。
この記事を書いてる僕は、2つの医療系国家資格(鍼灸師・柔道整復師)と栄養指導の資格(スポーツ栄養医学指導士)を保有している日本で唯一のランニングトレーナーです。
「膝や足の痛みに悩まされない走り方」「より軽やかで、より効率的な走り方」「全くのランニング未経験者からフルマラソン完走まで導くサポート」の指導を得意としています。
今までに1,000名以上のランナーのお悩みに対してアドバイスしてきた実績があります。
マラソンの記録に差が出る乳酸性作業閾値(LT)を向上するためのトレーニングとは?
乳酸性作業閾値を向上させていくためのトレーニングとして、代表的なものは以下の3つがあります。
ポイント
① LT走
② クルーズインターバル走
③ ウェーブ走
乳酸性作業閾値(LT)は、LTペースを保って20〜30分を目安に走るトレーニングをすることで、効果的に向上させることができます。
LTペースは、インターバル走より遅くマラソンペースよりは速いペースとなるため、比較的運動強度の高いトレーニングになります。
ただ、インターバル走よりは遅いペースのため、ランニング初心者にも取り入れやすいトレーニングとも言えます。
ランニング初心者の方は、インターバル走のような高強度のトレーニングは抵抗がある方が多いと思います。
そんな場合は、無理に実施する必要はなく、今回ご紹介するLTを向上させるためのトレーニングを週1回取り入れるだけでも充分です。
それでは、具体的なトレーニング方法に入る前に、乳酸性作業閾値に関する理解を深めておきましょう。
乳酸性作業閾値とは?
乳酸性作業閾値とは、「ゆっくりしたペースから、徐々にスピードを上げていったとき、乳酸が血液中に急増し始めるポイント」のことを言います。
英語ではLactate Thresholdとなるので、これを略して 「LT」とも呼ばれます。
LTを超えるスピードで走ってしまうと、有酸素運動から無酸素運動に切り替わってしまうため、長い距離を走ることができなくなります。
よって、LTが高くなればなるほどスピード持久力が高まり、スピードを上げて走っても長い距離を走り続けることができるようになります。
つまり、キロ4分ペースでLTを超えるランナーと、キロ6ペースでLTを超えるランナーが、同じキロ5分ペースで走った時、キロ4分ペースでLTを超えるランナーなら途中で失速することなくフルマラソンを完走できるということです。
LTを測定しようとすると、少量ながらも血液を採取する必要があり、血液中の乳酸濃度を計測するためには専用の器具が必要になります。
また、ランニングウォッチで測定できるモデルもありますが、その測定数値も人によって誤差が大きいため、参考程度にしかなりません。
このように、LTの正確な測定は現実的ではないため、ランニングウォッチを持っている場合は心拍ゾーン 、持っていない場合は自覚的運動強度(RPE)を指標として、LT向上のためのトレーニングを行います。
【心拍ゾーン】
【ゾーン1(リラックス):最大心拍数の50~60%】
ゾーン1でのトレーニングは、リラックスした楽なペースで規則的に呼吸をしているような気分になります。そのため、心臓が血液を送出する能力と筋肉が酸素を使用する能力が向上します。早歩きは典型的なゾーン1の運動です。
【ゾーン2(イージー):最大心拍数の60~70%】
ゾーン2のトレーニングは快適なペースで行われ、深く呼吸していますが、会話を続けることはできます。これは回復と基本的な心血管トレーニングに適しています。軽いジョギングは通常、ゾーン2に分類されます。
【ゾーン3(モデレート):最大心拍数の70~80%】
ゾーン3のトレーニングは適度なペースで行われ、会話を続けるのが難しくなります。これにより肺と心臓が強化され、持久力が向上します。軽いランニングはゾーン3に分類されます。
【ゾーン4(ハード):最大心拍数の80~90%】
ゾーン4では、強い呼吸をしながら、速くてほとんど不快なペースで動いています。そのため、無酸素運動能力と乳酸閾値が向上します。速いランニングはゾーン4に分類されます。
【ゾーン5(エキスパート):最大心拍数の90~100%】
ゾーン5に達すると、通常は長時間持続するのが難しいスプリントペースになります。呼吸が困難です。ゾーン5のトレーニングは、パワーだけでなく、無酸素運動能力と筋肉持久力を高めます。
引用:Garmin connect
【自覚的運動強度(RPE)】
引用:RUNNET
あくまで参考数値ですが、サブ5ならキロ6分30秒ペース、サブ4.5ならキロ6分ペース、サブ4なら5分20秒ペースが目安になります。
個人によって強度設定は全然変わってくるため、「サブ4が目標だから5分20秒ペースで走る」というような強度設定だけはしないように注意してくださいね。
LTに関する理解を深めていただいた上で、次はLTを上げるための3つのトレーニング方法をご紹介していきます。
① LT走
LT走とは、乳酸性作業閾値(LT)を超える手前のペース(LTペース)で20〜30分間走るトレーニング方法のことです。
LTペースの目安は、心拍ゾーンだと「ゾーン4」、RPEだと「きつい」になります。
実施の流れは以下のように行います。
①ウォーミングアップジョグ(10分)
②LT走20〜30分
③ダウンジョグ(10分)
このトレーニングは強度設定がかなり重要です。
必ず目安の「ゾーン4」や「きつい」の強度を維持できるようにしてください。
なぜなら、LTペースより速すぎても遅すぎても、狙っているLT向上の目的が充分に果たせないからです。
先ほどもお伝えしましたが、「サブ4を達成したいから5分20秒ペースで走る」というような強度設定はしないように注意しましょう。
② クルーズインターバル走
クルーズインターバル走とは、LTペースで行うインターバル走のことです。
本来、インターバル走は最大心拍数の90〜95%を目安に行うのですが、その強度を下げて最大心拍数の80〜85%(LTペース)を目安に行います。
代表的なメニューを3つご紹介します。
①1km×5(休息3分)
②2km×3(休息3分)
③3km2km1km(休息3分)
3km2km1km(休息3分)であれば、3km走って休息を3分取り、次は2km走って休息を3分取り、最後は1km走るということです。
休息の取り方は、「ジョグ」「ウォーキング」「その場で休憩」のどれを選んでもらっても大丈夫です。
休息のポイントは「しっかりと回復して次のランに繋げられるか」ですので、その時の疲労度によって休息方法は決めるようにします。
実施の流れは以下のように行います。
①ウォーミングアップジョグ(10分)
②クルーズインターバル走(1km×5 休息3分)
③ダウンジョグ(10分)
LT走と比べて休息が間にあるため、精神的に楽に走ることができます。
ランニング初心者の方はクルーズインターバル走の方が取り入れやすいかもしれませんね。
インターバル走と聞くと、ついついスピードを上げすぎてしまう方がいます。
くれぐれも目安強度の「ゾーン4」や「きつい」の強度設定をオーバーしないように注意してください。
③ ウェーブ走
ウェーブ走とは、速いペースと遅いペースを繰り返して走るトレーニング方法のことです。
LTの向上を目的としたウェーブ走は、LTペースの前後でペースを上げ下げします。
例えば、画像の心拍ゾーン4は「130〜146」なのですが、同じ心拍ソーン4でも130と146では走るペースに違いがあります。
この違いを使って、遅いペースは心拍130前後を目安に走り、速いペースは心拍146前後を目安に走るといった感じです。
RPEの場合は、「きつい」が15なので、遅いペースは14を目安に走り、速いペースは16を目安に走ります。
だいたいそのタイム差は、1キロあたり30秒くらいになります。
遅いペースがキロ5分30秒だった場合、速いペースはキロ5分程度になるということです。
実施の流れは以下のように行います。
①ウォーミングアップジョグ(10分)
②ウェーブ走 (速いペース1km→遅いペース1km ×3)
③ダウンジョグ(10分)
強度設定が他の2つと比べると少し難しいため、LT走やクルーズインターバル走に慣れてきた時に、一つのバリエーションとして実施すると、気分を変えてトレーニングをすることができます。
また、マラソン大会ではずっと一緒のペースではなく、周りのランナーの影響やコースのアップダウンの影響を受けるため、ペースの上げ下げが起こります。
日頃からウェーブ走を実施しておくことで、マラソン大会でペースの上げ下げがあっても、乱れずに安定して走ることができるようになります。
まとめ
今回は、「マラソンの記録に差が出る乳酸性作業閾値(LT)を向上するためのトレーニング」をテーマにお伝えしました。
話をまとめますね。
【マラソンの記録に差が出る乳酸性作業閾値(LT)を向上するためのトレーニングとは?】
①LT走
②クルーズインターバル走
③ウェーブ走
・乳酸性作業閾値(LT)は、LTペースを保って20〜30分を目安に走るトレーニングをすることで向上させることができる
・LTペースは、インターバル走より遅くマラソンペースよりは速いペース
・インターバル走より遅いペースのため、ランニング初心者にも取り入れやすいトレーニング
・LTを向上させるためのトレーニングを週1回取り入れる
【乳酸性作業閾値とは?】
・「ゆっくりしたペースから、徐々にスピードを上げていったとき、乳酸が血液中に急増し始めるポイント」のことを言い、「LT」と略記される
・LTが高くなればなるほどスピード持久力が高まり、スピードを上げて走っても長い距離を走り続けることができるようになる
【①LT走】
・LT走とは、乳酸性作業閾値(LT)を超える手前のペース(LTペース)で20〜30分間走るトレーニング方法のこと
・LTペースの目安は、心拍ゾーンだと「ゾーン4」、RPEだと「きつい」
・LTペースより速すぎても遅すぎても、狙っているLT向上の目的が充分に果たせないため強度設定がかなり重要
【②クルーズインターバル走】
・LTペースで行うインターバル走のこと
・インターバル走は最大心拍数の90〜95%を目安に行うが、強度を下げて最大心拍数の80〜85%を目安に行う
・LT走と比べて休息が間にあるため、ランニング初心者が取り入れやすい
【③ウェーブ走】
・速いペースと遅いペースを繰り返して走るトレーニング方法のこと
・LTペースの前後でペースを上げ下げする
・マラソン大会でペースの上げ下げがあっても、乱れずに安定して走ることができるようになる
というお話しでした。
LT向上を狙って週1回トレーニングをするのとしないのとでは、同じ走行距離を踏んだ時の結果に大きく違いが出ます。
ここに、少ない月間走行距離でも走力が上がっていく方と、月間走行距離をしっかり踏んでいる割になかなか走力が上がらない方との違いが生まれてくるのです。
LT向上のためのトレーニングは強度設定が少し難しくはありますが、繰り返し実施して経験を積むことで、徐々に最適な強度設定ができるようになります。
効率よくトレーニングを積んで、マラソンをより楽により速く走れるようになりたい方は、ぜひ取り入れてみてください。
それでは、また。
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